食卓でおなじみのさつまいもとじゃがいも。どちらも「いも」と呼ばれ親しまれていますが、実は植物学上では全くの別物だとご存知でしたか?この記事では、さつまいもは何科の植物なのか、そしてじゃがいもとの違いを分類から詳しく解説します。
結論から言うと、さつまいもはヒルガオ科の植物であり、じゃがいもはナス科の植物です。このため、アサガオ似の花が咲くさつまいもと、ナスに似た花が咲くじゃがいもという見た目の違いがあります。
さらに驚くべきことに、私たちが食べている部分は根であるさつまいもに対し、食べている部分は茎であるじゃがいもという決定的な違いも存在します。
当記事では、他のイモ類との比較、歴史、育て方、栄養素に至るまで、あらゆる角度から「さつまいもは何科でじゃがいもとの違いは何か」という疑問の全てを明確にしていきます。
- さつまいもとじゃがいもの植物学的な分類の違い
- 他の主要なイモ類(里芋・山芋など)との分類の違い
- 花や食べている部分(塊根と塊茎)といった構造の違い
- 原産地や日本に伝わった歴史的背景
- 育て方や含まれる栄養素の具体的な違い
さつまいもとじゃがいもとの違いを分類から解説
さつまいもは「ヒルガオ科」でアサガオの仲間

結論から言うと、さつまいもは「ヒルガオ科」サツマイモ属に分類される、つる性の多年草(日本では一年草として栽培)です。普段よく目にするアサガオも同じヒルガオ科の仲間であり、植物としてのルーツは非常に近い関係にあります。学名は「Ipomoea batatas」といい、原産地である熱帯アメリカの温暖で乾燥した気候を好む性質を持っています。
このため、日本では暖かい地域での栽培が盛んであり、農林水産省の統計によると、鹿児島県、茨城県、千葉県が長年にわたり生産量の上位を占めています。
スーパーで野菜として売られているさつまいもが、夏を彩るアサガオと親戚関係にあると考えると、少し見方が変わって面白いかもしれません。つるを伸ばして地面を這うように広がる姿は、まさにアサガオの生育の様子とそっくりです。
意外な仲間、空心菜も同じヒルガオ科
さつまいもがヒルガオ科であることはご紹介しましたが、実は野菜の中にもう一つ、同じ科に属する身近なものが存在します。それは、中華料理などで人気の葉物野菜「空心菜(クウシンサイ)」です。
空心菜は、その名の通り茎の中が空洞になっているのが特徴で、シャキシャキとした食感が美味しい野菜です。さつまいもが根を食べるのに対し、空心菜は葉と茎を食べるため、同じ仲間だとはなかなか想像がつきにくいかもしれません。しかし、空心菜もさつまいもと同様に、アサガオに似た白や薄ピンク色の花を咲かせます。
じゃがいもは「ナス科」でトマトの仲間

一方、じゃがいもはナス科ナス属に分類される植物です。こちらは、私たちの食卓に頻繁に登場するトマト、ナス、ピーマン、さらにはトウガラシなどと同じ仲間になります。
言われてみれば、じゃがいもの花とナスの花が星形で似ていることや、生育した茎や葉の雰囲気がトマトと似ていることに気づく方もいるでしょう。
学名は「Solanum tuberosum」で、原産地は南米のアンデス山脈です。さつまいもとは対照的に、日照が多く、昼夜の寒暖差が大きい比較的冷涼な気候を好むのが特徴です。
日本ではその気候的特徴から北海道が最大の産地となっており、国内生産量の約8割を占めるほど栽培に適した土地柄となっています(参考:農林水産省:いも類をめぐる状況について)。
このように、さつまいもとじゃがいもは「いも」という共通点以外、植物学的には全く異なるグループに属しているのです。
【一覧比較】他の主要なイモ類は何科?
「イモ」と呼ばれる野菜はたくさんありますが、そのほとんどは異なる科に属しています。ここで、私たちの食卓によく登場する主要なイモ類が、それぞれ何科に分類されるのかを一覧表で見てみましょう。
| イモの種類 | 科 | 主な仲間 | 食べている部位 |
|---|---|---|---|
| さつまいも | ヒルガオ科 | アサガオ、空心菜 | 塊根(かいこん) |
| じゃがいも | ナス科 | トマト、ナス、ピーマン | 塊茎(かいけい) |
| 里芋(さといも) | サトイモ科 | こんにゃく芋、カラー | 塊茎(かいけい) |
| 山芋・長芋 | ヤマノイモ科 | 自然薯(じねんじょ) | 塊根(かいこん) |
| こんにゃく芋 | サトイモ科 | 里芋、タロイモ | 球茎(きゅうけい) |
このように、「〇〇イモ科」という植物分類は存在せず、それぞれが独自の科に属していることが分かります。さつまいもとじゃがいもだけでなく、里芋や山芋も全くの別物なのです。
アサガオ似の花が咲くさつまいも(ただし珍しい)

さつまいもはヒルガオ科の植物であるため、アサガオによく似た漏斗(ろうと)状、いわゆるラッパ状の美しい花を咲かせます。花の色は一般的に中心部が濃い紫色で、花びらの先に向かって白や薄いピンク色になるグラデーションが特徴です。
ただし、日本でその花を見る機会はほとんどありません。なぜなら、さつまいもは特定の条件下でないと花を咲かせにくい性質を持っているからです。
さつまいもは「短日植物(たんじつしょくぶつ)」に分類されます。これは、1日の日照時間が一定の時間よりも短くならないと、花を咲せるための芽(花芽)が作られないという性質です。
さつまいもの原産地である中南米の熱帯地域は、年間を通じて日照時間が比較的短い地域です。そのため、日本の夏のように日照時間が長い環境では、花を咲かせるためのスイッチが入りません。品種や気候条件によっては、秋になり日照時間が短くなってきた頃に花が咲くこともありますが、気候が温暖な沖縄や九州南部を除き、開花は非常に珍しいとされています。
豆知識:さつまいもの花言葉
珍しいさつまいもの花には、「乙女の純情」「幸運」といった花言葉があります。なかなか見ることができないその希少性から、「幸運」という花言葉が付けられたのかもしれませんね。
食べている部分は「根(塊根)」であるさつまいも

さつまいもとじゃがいもの最も大きな違いの一つが、私たちが普段「いも」として食べている部分の正体です。さつまいもの可食部は、植物学的に「塊根(かいこん)」と呼ばれます。これは、養分を蓄えるために太く肥大した「根」の部分にあたります。
もともとは水分や養分を吸収する役割だった根の一部が、光合成で作られたデンプンなどを貯蔵するタンクの役割を持つように変化したものです。
さつまいもの表面をよく見ると、ひげのような細い根(側根)が生えているのが確認できます。これが、私たちが食べている部分がもともと根であったことの何よりの証拠です。また、塊根には決まった数の芽(成長点)がなく、不定芽と呼ばれる芽がどこからでも発生する可能性があります。
食べている部分は「茎(塊茎)」であるじゃがいも

対して、じゃがいもの可食部は「塊茎(かいけい)」と呼ばれています。これは、地下にある「茎」が養分を蓄えて大きく膨らんだものです。つまり、さつまいもが「根」であるのに対し、じゃがいもは「茎」を食べていることになります。レンコンや里芋なども、同じ塊茎の仲間です。
じゃがいもの表面にあるくぼみは「目」と呼ばれますが、これは植物学的には「節(ふし)」にあたる部分です。ここには成長点があり、新しい芽や根が伸びていきます。
この様子からも、じゃがいもが茎であることがよくわかります。一つの種いもから複数の芽が出て、それぞれが独立した個体のように成長できるのは、このためです。
【補足】植物学(〇〇科)と園芸学(根菜類)の分類は別物
これまで解説してきた「〇〇科」という分類は、植物の花や葉の形などに基づいた「植物学上の分類」です。一方で、農林水産省などが用いる分類は、私たちが利用する部分(可食部)や栽培方法に基づいた「園芸学上の分類」が一般的です。
この園芸学上の分類では、野菜は以下のように分けられます。
- 果菜類:果実を食べる野菜(トマト、きゅうり、ナスなど)
- 葉茎菜類:葉や茎を食べる野菜(キャベツ、ほうれん草、空心菜など)
- 根菜類:根の部分を食べる野菜(大根、にんじん、ごぼうなど)
分類の視点の違いに注意
この分類に従うと、さつまいもは根が肥大した部分(塊根)を食べるため、「根菜類」に分類されます。一方、じゃがいもは茎が肥大した部分(塊茎)を食べるため、「茎菜類(けいさいるい)」に分類されます(農林水産省の分類では「いも類」として独立させることもあります)。
植物学上の分類(ヒルガオ科)と、園芸学上の分類(根菜類)は、全く異なる視点からのグループ分けです。どちらが正しいというものではなく、目的によって使い分けられています(参考:農林水産省:野菜の分類について教えてください。)。
【注意】じゃがいもの芽や緑色の皮には毒素が含まれます
食べている部分が「茎」であるじゃがいもには、特有の注意点があります。じゃがいもの芽や、光に当たって緑色に変色した皮には、「ソラニン」や「チャコニン」という天然の毒素(グリコアルカロイド)が含まれていることがあります。
これらを一定量以上摂取すると、吐き気、嘔吐、腹痛、頭痛、めまいなどの食中毒症状を引き起こす可能性があります。調理の際には芽をその根元からしっかりとくり抜き、皮が緑色になっている場合は厚めにむいて完全に除去するようにしてください。
詳しくは、(参考:農林水産省:じゃがいもによる食中毒を予防するために)でも注意喚起されています。
歴史と栄養で見るさつまいもとじゃがいもとの違い
原産地は熱帯アメリカのさつまいも

さつまいものルーツをたどると、原産地はメキシコを中心とする中南米の熱帯地域とされています。紀元前800年ごろにはすでに栽培されていた記録が残っており、非常に長い歴史を持つ作物です。
15世紀末にコロンブスによってヨーロッパに伝えられましたが、涼しい気候にはあまり適さなかったため、その後は気温の高いアフリカやアジアの植民地へと持ち込まれ、世界中に普及しました。
日本へは、1600年ごろに中国から琉球(現在の沖縄県)へ、そして薩摩(現在の鹿児島県)へと伝わりました。江戸時代、享保の大飢饉の際に蘭学者の青木昆陽がさつまいもの栽培を奨励し、多くの人々を飢餓から救ったことから「救荒作物」として全国に広まりました(参考:農林水産省 子ども相談:サツマイモはどこからきたの?)。
さつまいもの名前の由来は「薩摩」から
「さつまいも」という名前は、その伝来の歴史に深く関係しています。この名前は、「薩摩の国(現在の鹿児島県)から広まった芋」であることに由来します。
前述の通り、さつまいもは琉球から薩摩へと伝わり、栽培に成功しました。当時の薩摩藩は、台風や干ばつによる食糧難にたびたび見舞われていましたが、痩せた土地でも育ちやすく、災害にも強いさつまいもは、まさに救荒作物として領民を飢饉から救う存在となりました。
ここから、薩摩藩はさつまいもの栽培を奨励し、その栽培技術は全国へと広まっていきました。このような背景から、「薩摩から来た芋」という意味で「薩摩芋(さつまいも)」と呼ばれるようになったのです。地域によっては「唐芋(からいも)」や「琉球芋(りゅうきゅういも)」と呼ばれることもあり、それぞれが伝来の歴史を物語っています。
原産地と名前の由来が異なるじゃがいも

じゃがいもの原産地は、南米のアンデス山脈です。標高3,000〜4,000メートルの高地で、古くからインカ帝国の人々の貴重な食料として栽培されていました。
ヨーロッパへは16世紀にスペイン人によって伝えられましたが、当初は「悪魔の植物」などと噂され評判が悪く、本格的に食用として広まったのは18世紀の食糧難がきっかけでした。
日本にじゃがいもが伝わったのは17世紀初頭のことです。当時、オランダの船がインドネシアのジャカルタ港を経由して長崎に持ち込みました。この「ジャカルタから来たいも」が「ジャガタラいも」と呼ばれ、やがて「じゃがいも」へと変化した、というのが名前の由来として最も有力な説です。
ちなみに、じゃがいもは「馬鈴薯(ばれいしょ)」とも呼ばれますが、これは中国での名称に由来し、形が馬につける鈴に似ていたことから名付けられたと言われています。明治時代に北海道の開拓と共に本格的な栽培が始まり、男爵薯やメークインといった品種が導入され、日本の食文化に深く根付いていきました(参考:農畜産業振興機構:【まめ知識】「ばれいしょ」の品種を知ってもっと楽しもう!)。
育て方の違い:「苗」 vs 「種いも」

栽培方法にも明確な違いがあり、それぞれ全く異なるアプローチが必要です。さつまいもは、苗(つる)を畑に植え付けて栽培するのが一般的です。春に十分に暖かくなってから、前年に収穫したいもから育てた苗のつるを15〜20cmほどの長さに切り、土に水平か斜めに植え付けます。肥料が多すぎると「つるぼけ」といって葉ばかりが茂り、いもが大きくならないため注意が必要です。
一方で、じゃがいもは「種いも」と呼ばれる、いもそのものを土に植えて育てます。春か秋に、病気のない健康な種いもを1片30〜40g程度になるよう、各片に芽が均等につくように切り分けます。切り口を数日間乾燥させてから植え付け、芽が出てきたら元気なものを数本残して他をかき取る「芽かき」を行います。
そして、いもが土の表面に出て日光に当たり緑化するのを防ぐために、株元に土を寄せる「土寄せ」という作業が不可欠です。このように、さつまいもが「苗」から、じゃがいもが「種いも」から育つという点は、家庭菜園を始める際の大きなポイントとなります。
栄養素の違い:食物繊維 vs ビタミンC

さつまいもとじゃがいもは、どちらもエネルギー源となる炭水化物を主成分としますが、含まれる栄養素にはそれぞれ際立った特徴があります。さつまいもは、食物繊維が非常に豊富で、腸の働きを穏やかにする「ヤラピン」という成分も皮の近くに含んでいます。
このヤラピンはさつまいも特有の成分です。また、抗酸化作用のあるビタミンEや、品種によってはβ-カロテン(安納いもなど)やアントシアニン(紫いもなど)も豊富に含みます。
じゃがいもは、フランスで「畑のりんご」と呼ばれるほどビタミンCが豊富に含まれています。通常、ビタミンCは熱に弱い性質がありますが、じゃがいものビタミンCは主成分であるでんぷん質に守られているため、加熱調理をしても損失が少ないという優れた特徴を持っています。
また、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出し、高血圧の予防に役立つカリウムも多く含まれています。
さつまいもとじゃがいもの栄養成分比較(可食部100gあたり)
| 成分 | さつまいも(塊根、皮つき、生) | じゃがいも(塊茎、皮つき、生) |
|---|---|---|
| エネルギー | 129kcal | 51kcal |
| 炭水化物 | 31.9g | 13.4g |
| 食物繊維 | 2.8g | 8.9g |
| ビタミンC | 25mg | 28mg |
| カリウム | 480mg | 410mg |
【YMYL領域に関する注記】 上記は公表されているデータに基づく一般的な情報です。特定の栄養素の効能を保証するものではありません。個人の健康状態や食事に関する具体的な判断は、必ず医師や管理栄養士などの専門家にご相談ください。
総括!さつまいもは何科でじゃがいもとの違いは?
この記事を通じて、さつまいもとじゃがいもが、単なる「いも」という括りでは説明できないほど、多くの点で異なる植物であることをご理解いただけたかと思います。最後に、その違いについて重要なポイントを一覧でまとめます。これさえ押さえれば、明日からあなたも「いも博士」です。
- さつまいもはヒルガオ科の植物
- じゃがいもはナス科の植物
- さつまいもの仲間はアサガオや空心菜
- じゃがいもの仲間はトマトやナス
- 他のイモ類(里芋、山芋)もそれぞれ別の科に属する
- さつまいもの花はアサガオに似ている(ただし咲くのは稀)
- 私たちが食べているさつまいもは肥大した「根(塊根)」
- 私たちが食べているじゃがいもは肥大した「茎(塊茎)」
- さつまいもは園芸学上「根菜類」に分類される
- さつまいもの原産地は中南米の熱帯地域
- じゃがいもの原産地は南米のアンデス山脈
- さつまいもは薩摩から広まったことが名前の由来
- じゃがいもはジャカルタ経由で伝わったことが名前の由来
- さつまいもは「苗」を植えて育てる
- じゃがいもは「種いも」を植えて育てる
- さつまいもは食物繊維やヤラピンが豊富
- じゃがいもは熱に強いビタミンCやカリウムが豊富

