家庭菜園でさつまいもを育てていると、「いつ収穫すればいいのか」という見極めのタイミングに悩みませんか? 植え付けからの日数は覚えているけれど、土の中の様子は見えません。べにはるかや紅あずまなど、品種によっても最適な時期が異なります。
さつまいもの収穫は、収穫が早すぎる・遅すぎると、味や大きさに深刻な影響が出るため、不安になる方も多いでしょう。実は、さつまいもは土の上に出ている「葉っぱ」や「茎」の状態を見ることで、収穫の目安を知ることができます。葉が黄色くなったり、枯れ始めたりするのは、芋が十分に育ったという重要なサインなのです。
この記事では、さつまいも収穫で失敗しないための具体的な見極め方(葉っぱ・茎・日数)、早すぎ・遅すぎのデメリット、品種別の違い、そして収穫後の「追熟」のコツまで詳しく解説します。
- 収穫が早すぎる・遅すぎる場合のデメリット
- 収穫時期の目安(日数)
- 収穫のサイン(葉っぱ・茎の状態)
- 品種別(紅あずま・べにはるか等)のタイミング
- 収穫後の甘みを増す「追熟」の正しい方法
さつまいも収穫「早すぎ」「遅すぎ」のデメリット

さつまいもの収穫は、まさにタイミングが命です。早すぎても遅すぎても、それまでの苦労が報われない結果になってしまいます。
収穫が早すぎるとどうなる?(小さい・甘くない)
収穫を急ぎすぎると、いくつかの残念な結果につながります。最も大きな問題は、味が乗らず甘くないことです。
さつまいもは、生育期間の後半にデンプンを糖に変える「糖化」が進み、芋自体もぐっと太くなります。収穫タイミングが早すぎると、この糖化と肥大が不十分なまま掘り出すことになります。
早すぎる収穫の主なデメリット
- 小さい・少ない: イモが十分に肥大しておらず、全体の収穫量が減ってしまいます。
- 甘くない・味が薄い: デンプンが糖に変わる時間が足りず、粉っぽく期待した甘さが出ません。
- 特徴が出ない: 「紅はるか」のねっとり感や、「紅芋」の紫の色素などが十分に現れない場合があります。
収穫が遅すぎるとどうなる?(筋っぽい・亀裂)
逆に、収穫が遅すぎた場合にも多くのデメリットがあります。「大きくて立派なイモが掘れた!」と喜んだものの、食べてみると筋だらけだった、というケースです。
地中に長く置きすぎると、イモは成熟しすぎて繊維質が硬くなり、食べたときに「筋っぽい」食感になることがあります。また、秋雨などで急に水分を吸うと、イモの急激な膨張に皮が耐えられず、表面に亀裂が入ったり、内部に空洞(ス)ができたりします。これらは品質低下や腐敗の原因となります。
【絶対厳守】遅すぎの最大リスクは「霜(しも)」

収穫が遅すぎることの最大のデメリットであり、絶対に避けたいのが「霜」による被害です。これは、他のデメリットとは比較にならないほど致命的です。
さつまいもは寒さに非常に弱い作物です。一度でも霜が降りると、葉や茎は黒く枯れてしまいます。さらに、その冷気が茎を伝って土の中の芋に達すると、芋が深刻な低温障害を起こし、細胞組織が破壊されてしまいます。
霜に当たった芋は貯蔵できない
霜に当たった芋は、掘り上げた直後は問題ないように見えても、貯蔵中に急速に腐敗が始まります。長期保存がまったく効かなくなるのです。
天気予報で「霜注意報」が出たり(参考:気象庁:霜・結氷の初終日)、最低気温が5℃近くまで下がると予想されたりした場合は、葉がまだ青々としていても、必ず霜が降りる前にすべての芋を収穫してください。
さつまいも収穫時期の見極め方【3つの目安】
「早すぎ」「遅すぎ」の失敗を防ぐためには、収穫の目安となるサインを総合的に判断することが重要です。3つの主要な見極め方を紹介します。
目安①:植え付けからの「日数」を記録する

まず基本となるのが、「苗を植え付けた日」から「収穫当日」までの経過日数を把握しておくことです。
一般的に、さつまいもの苗を植え付けてから収穫までの目安は、約110日~150日(およそ4ヶ月~5ヶ月)とされています。例えば、5月中旬に植え付けた場合、9月上旬から10月頃が収穫時期の目安となります。
ポイント
家庭菜園を始めたら、品種名と植え付けた日付をカレンダーやスマートフォンのメモ機能に必ず記録しておきましょう。この記録が、秋の収穫計画を立てる上で最も基本的な情報となります。
ただし、これはあくまで目安です。その年の天候や地域、土壌の状態で生育スピードは変わるため、次の「葉っぱと茎」の状態と合わせて判断します。
目安②:「葉っぱ」と「茎」の収穫サイン

収穫時期を判断する上で、最も分かりやすい見た目の変化が「葉っぱ」と「茎(つる)」の状態です。
夏の間、青々と茂っていた葉は、収穫期が近づくと株元に近い下の葉から順番に黄色くなり始めます。これは、葉での光合成の役目が終わり、蓄えられた栄養分が土の中の芋(塊根)へと転流している証拠です。
さらに黄化が進むと、葉は次第に茶色く枯れてきたり、茎(つる)全体の勢いがなくなってきたりします。これらが「収穫OK」の重要なサインです。
葉と茎のチェックポイント
-
- 下の葉が黄色く変色し始めた。
- 葉全体の緑色が薄くなってきた。
- 葉が部分的に枯れ始めた。
- 茎(つる)の伸びる勢いがなくなった。
「つるぼけ」に注意
日数が経っているのに、いつまでも葉が青々と茂り、茎(つる)ばかりが伸びている状態を「つるぼけ」と呼びます(参考:JAしみず:さつまいも)。これは畑の肥料分(特に窒素)が多すぎた場合に起こりがちです。
葉が元気でも、土の中では芋が大きくなっている可能性があるため、葉の状態だけで判断せず、次の「試し掘り」を行うのが確実です。
目安③:最も確実な「試し掘り」

日数や葉のサインはあくまで目安です。地中で育つさつまいもの状態を正確に知るためには、「試し掘り」が最も確実で、最も推奨される方法です。
収穫目安の1ヶ月前〜2週間前頃に、試しに1株だけ掘ってみて、芋の大きさを確認する作業を指します。
試し掘りの手順
- 生育が良さそうな株を1つ選びます。
- 株元の土を、スコップや手で優しく掘り進めます。この時、芋を傷つけないように注意してください。
- 芋の頭が見えてきたら、その大きさを確認します。イモの表面を軽くこすり、皮が簡単にズルっと剥けなければ成熟しているサインです。
- 十分な大きさ(スーパーで売っているサイズ程度)になっていれば、他の株も同様に収穫を開始してOKです。
- もし芋がまだ小さいようであれば、掘った土をそっと元に戻し、さらに1〜2週間ほど待ってから本格的な収穫を行います(霜が降りる前までに)。
品種別(紅あずま・べにはるか)の収穫目安

育てている品種によっても、最適な収穫日数は異なります。代表的な品種の目安を紹介します。
紅あずまの収穫時期と特徴

紅あずま(べにあずま)は、関東地方を中心に人気のある品種で、ホクホクとした食感が特徴です。
収穫時期の目安は、9月~11月頃です。植え付けからの日数は比較的短めの約100日~120日(早生品種)で収穫サイズになります。葉の色が黄色がかってきたらサインです。
紅あずまの注意点:大きくなりすぎ
紅あずまは、他の品種に比べて芋が大きくなりすぎる(過肥大)傾向があります。収穫タイミングが遅れると、規格外の大きさになったり、筋っぽくなって食味が落ちたりすることがあります。葉のサインが出始めたら、早めに試し掘りをして適切な大きさで収穫するのがおすすめです。
べにはるかの収穫時期と特徴
べにはるか(紅はるか)は、強い甘みと、しっとり・ねっとりとした食感で近年非常に人気のある品種です。
収穫時期の目安は、10月下旬~11月初旬頃です。植え付けからの日数は、紅あずまより少し長めの約120日~140日(中生~晩生品種)が目安です。
収穫サインは、葉が枯れはじめ、黄色く変化したら収穫のタイミングです。じっくり育てた方が甘みや特徴が出やすい品種です。
安納芋など他品種の収穫時期
その他の代表的な品種の目安は以下の通りです。いずれの品種も葉の状態(黄化や枯れ)を併せて確認することが重要です。
| 品種名 | 収穫時期の目安 | 植え付けからの日数(目安) | 特徴・収穫サイン |
|---|---|---|---|
| 安納芋 (あんのういも) | 9月下旬~12月上旬 | 約120日~150日 | しっとり系。葉の一部が枯れて黄色く変化したら収穫サイン。秋から冬にかけて甘みが増します。 |
| 鳴門金時 (なるときんとき) | 9月~10月 | 約110日~140日 | ホクホク系。茎や葉のツヤがなくなり、緑色が薄くなってきたら収穫タイミングです。 |
| シルクスイート | 9月~10月 | 約120日~140日 | しっとり滑らか系。葉がところどころ黄色く変化したら収穫。芋が小さい場合は試し掘りで確認します。 |
収穫時のポイントと「追熟」のコツ
収穫適期を見極めたら、いよいよ収穫です。収穫当日と、収穫後の「ひと手間」が美味しさを左右します。
収穫は「晴れた日」に行う(雨の後はNG)

さつまいもの収穫は、「土が乾いている、晴れた日」に行うのが鉄則です。ベストなのは、晴天が2~3日続いた後の、土の水分が適度に抜けた状態です。
雨の日や雨上がりはNG!
雨の日や、雨が降った翌日など、土が濡れている(泥濘んでいる)状態での収穫は絶対に避けてください。理由は以下の通りです。
- 腐敗の原因: 濡れた土(泥)がイモに付着すると、イモの表面が柔らかく傷つきやすくなります。その傷から雑菌が入り、腐敗の原因になります。
- 保存性の低下: 水分を多く含んだ芋は、長期保存に向きません。
掘り上げたさつまいもは、イモ同士が重ならないように、そのまま畑の上などに並べ、2~3時間ほど天日(直射日光)に当てて表面をしっかり乾燥させます。これにより表皮が強くなり、貯蔵性が格段にアップします。
収穫前に行う「つる切り」とは

収穫作業をスムーズに行うため、「つる切り(蔓切り)」という作業を行うことがあります。
これは、収穫予定日の5日~1週間ほど前に、地表に出ている葉と茎(つる)を、株元から4〜5cmほど残して鎌などで刈り取っておく作業です。
つる切りのメリット
- 1. 収穫作業が格段に楽になる
- 最大のメリットは作業性の向上です。収穫当日にツルが絡まっていると、マルチを剥がしたり、芋を掘り起こしたりする際に非常に邪魔になります。
- 2. 芋の糖度が増す(追熟の促進)
- つるを切ることで、残った短い茎の切り口から水分が蒸発し、芋本体の水分が適度に抜け、デンプンが糖に変わる「追熟」が促進されると言われています。
つる切りは必須作業ではありません。収穫当日にツルを刈り取りながら掘っても問題ありませんが、畑の面積が広い場合や、作業を効率化したい場合には非常におすすめの方法です。
収穫後に甘さを増す「追熟」の方法

さつまいもは、野菜の中でも珍しく、掘りたてが一番美味しいわけではありません。収穫後、「追熟(ついじゅく)」という貯蔵プロセスを経ることで、その甘みを最大限に引き出すことができます。
収穫直後はデンプンが多い芋が、適切な環境で保存されることで、デンプンがゆっくりと糖(主に麦芽糖)に変わり、甘みが増し、食感もしっとり・ねっとりへと変化していきます。
追熟の具体的な方法
まず、天日干しで表面を乾かしたイモを、土がついたまま(水洗いは絶対にしません)1つずつ新聞紙で包みます。それを段ボール箱などに入れ、フタを少し開けて通気性を確保します。
追熟の最適環境
追熟を成功させる鍵は「温度」と「湿度」です。理想的な貯蔵条件は以下の通りです。(参考:JAグループ「とれたて大百科 サツマイモ」)
- 温度:13~15℃程度
- 湿度:90%前後
- 場所:暗くて温度変化の少ない場所
- 期間:最低2週間~1ヶ月程度
家庭では「寒すぎず、暑すぎない、暗い場所」が最適です。冷蔵庫は低温障害を起こすため絶対にNGです。
まとめ:さつまいも収穫時期はサインの見極めが重要
さつまいも栽培の最後の仕上げである収穫は、早すぎても遅すぎても、それまでの苦労が報われない結果になってしまいます。ベストなタイミングで収穫し、美味しく食べるために、この記事の要点をまとめます。
- さつまいも収穫は早すぎても遅すぎてもデメリットがある
- 早すぎると小さく甘くないイモになる
- 遅すぎると筋っぽくなったり、亀裂が入ったりする
- 収穫が遅すぎの最大の敵は「霜」で、当たると腐敗する
- 収穫目安の基本は植え付けからの「日数」(約110日~150日)
- 「葉っぱ」や「茎」の黄化・枯れは収穫の「サイン」
- 品種(紅あずま、べにはるか等)で日数が異なる
- 一番確実な「見極め」方法は「試し掘り」
- 収穫は土が乾いた晴れた日に行う(雨の後はNG)
- 収穫後は2~3時間天日干しして表面を乾かす
- 甘みを増すには2週間~1ヶ月の「追熟」が不可欠

