秋の家庭菜園の主役、さつまいも。美味しいさつまいもをたくさん収穫するための第一歩は、苗の購入から始まります。
しかし、いざ育てようと思っても、「さつまいも苗の販売時期はいつ?」「近所のホームセンターでの値段はいくら?」と疑問に思うことが多いですよね。
カインズやコメリといったホームセンターなど店舗での取り扱い期間を逃してしまったり、どの品種を何本買えばいいか迷ったりした経験はありませんか。
この記事では、メインの購入場所であるホームセンターに焦点を当て、さつまいも苗の販売時期や狙い目のタイミング、店舗ごとの価格相場、収穫量を左右する良い苗の選び方まで、あなたのさつまいも栽培を成功に導くための知識を詳しくお届けします。
- ホームセンターでのさつまいも苗の販売時期と狙い目が分かる
- 店舗別の値段相場と、品種ごとの価格の違いが分かる
- 収穫量が増える「良い苗」の見分け方が身につく
- 購入後の正しい保存方法や植え付け時期が分かる
さつまいもの苗はいつ買う?ホームセンターの販売時期と狙い目
さつまいも栽培のスタートは、適切な時期に苗を購入することから始まります。ホームセンターでの販売スケジュールと、良い苗を手に入れるための最適なタイミングを解説します。
ホームセンターでの主な販売時期(4月下旬~6月中旬)

結論として、ホームセンターや園芸店などの実店舗でさつまいもの苗が販売されるのは、例年4月下旬から6月中旬頃までです。
これは、さつまいもの植え付けに適した時期が、農林水産省の情報でも示されているように、地温が十分に上がり、遅霜の心配がなくなる5月中旬から6月中旬であるためです。(参考:農林水産省:かんしょをめぐる事情)
特に、品揃えが最も豊富になるのはゴールデンウィーク前後で、様々な品種から選びたい場合はこの時期を狙うのがおすすめです。逆に、6月下旬に近づくと苗の数が減るだけでなく、長く店頭に置かれていたことで苗が弱っている可能性もあるため、早めの購入を心がけましょう。
【必見】良い苗を買う狙い目のタイミング
良い苗を確実に手に入れるためには、ただ販売時期に行くだけでなく、「いつ行くか」も重要です。
良い苗を確実に手に入れるための「狙い目」
① 人気品種は早めにチェック:
「べにはるか」などの人気品種は、シーズン本番の5月中旬になると売り切れてしまうことがあります。確実に手に入れたい場合は、ゴールデンウィーク前後には一度お店をチェックするのが賢明です。
② 入荷直後を狙う:
可能であれば、入荷直後である平日の午前中に訪れることをおすすめします。週末に売れてしまった分を補充するタイミングであり、誰よりも先に新鮮で状態の良い苗を選べる可能性が高まります。
地域別(暖地・中間地・寒冷地)の販売目安
お住まいの地域によっても販売時期には若干の差があります。暖かい西日本から順次販売が始まり、北上していく傾向にあります。
地域別の販売時期の目安
- 暖地(九州・四国など):4月下旬頃から
- 中間地(関東・東海など):5月上旬頃から
- 寒冷地(東北・北海道など):5月下旬頃から
これはあくまで目安です。正確な時期については、お近くの店舗に直接問い合わせるのが最も確実です。
ホームセンターでの値段は?価格相場と店舗比較
さつまいも苗の価格は、品種や品質、販売店によって異なります。ホームセンターでの一般的な相場を知っておくと、購入の際の目安になります。
1本あたり・セット価格の目安

ホームセンターで販売されているさつまいも苗は、1本ずつバラ売りされていることは少なく、10本や20本、25本といった束単位で販売されているのが主流です。
価格の相場としては、1束10本入りで300円〜800円程度が最も一般的な価格帯です。1本あたりに換算すると、おおよそ80円から170円が目安となりますが、セットで購入する方が割安になるケースがほとんどです。
セット購入のメリット

家庭菜園で満足のいく収穫量を目指す場合、少なくとも10本程度の苗を植えるのが一般的です。セットで購入すれば、1本あたりのコストを下げられるだけでなく、必要な本数を一度に確保できるため非常に効率的です。
品種別(紅はるか等)の価格の違い

さつまいもの苗は、品種が持つ特性や人気度によって値段が異なります。一般的に、昔ながらの定番品種は安価で、ブランド化された新しい人気品種は高価な傾向にあります。
定番のほくほく系品種(比較的安価)
「紅あずま」や「鳴門金時」に代表される、昔から多くの人に親しまれている品種です。粉質で加熱するとほくほくとした食感になり、上品な甘さが特徴。育てやすく収量も安定しているため、苗の価格も比較的リーズナブルです(10本束で300円~500円程度)。
人気のしっとり・ねっとり系品種(比較的高価)
一方、近年のトレンドとなっているのが、スイーツのような味わいを持つ品種です。その代表格が「紅はるか」で、「他の品種よりはるかに甘い」ことから名付けられました(参考:農研機構:べにはるか)。
その他、「シルクスイート」や「安納芋」といった品種も、加熱すると蜜があふれるほど甘く、しっとり・ねっとりとした食感で絶大な人気を誇ります。これらの品種は需要の高さから、苗の価格も定番品種より高めに設定されています(10本束で500円~800円程度)。(参考:農林水産省:サツマイモのいろいろな種類)
カインズ・コメリ・コーナン等の特徴と価格比較
全国展開する主要なホームセンターでは、それぞれ価格帯やサービス、品揃えに独自の特徴があります。各社の強みを理解し、あなたの目的やスタイルに合った店舗を見つけましょう。
| 店舗名 | 参考価格帯(1本) | 特徴とサービス |
|---|---|---|
| カインズ | 80円~150円前後 | 品質と価格のバランスが良いプライベートブランド商品が豊富です。園芸用の土や肥料もオリジナル商品が充実しており、初心者でも一式を揃えやすいのが魅力。ウェブサイトの「How to」情報も非常に丁寧で、育て方の手順を動画や記事で詳しく解説しており、購入後のサポートも万全です。 |
| コメリ | 90円~170円前後 | 全国最多の店舗数を誇り、地方在住者でもアクセスしやすいのが最大の強みです。特に、大量に栽培したいプロ農家や大規模な家庭菜園向けの「プラグ苗」のオンライン予約販売が充実しています。秋から予約を開始し、翌春に店舗で受け取れるシステムは、計画的な栽培を目指す方にとって非常に便利です。 |
| コーナン | 90円~160円前後 | 都市部から郊外まで幅広く店舗を展開し、地域に密着した品揃えが特徴です。園芸用品全般がバランス良く揃っており、苗と一緒に必要な道具や資材を一度に購入できます。プライベートブランド「LIFELEX」の園芸用品も手頃な価格で人気があります。 |
上記の価格や特徴はあくまで一般的な傾向です。実際の取り扱い品種、価格、在庫状況は各店舗や訪問する時期によって大きく異なります。最新の情報は、最寄りの店舗のチラシや公式サイトで直接確認することをおすすめします。
失敗しない!ホームセンターでの良い苗の選び方
美味しいさつまいもをたくさん収穫するための最も重要なステップが、元気で質の良い苗を選ぶことです。店頭で苗を選ぶ際には、ぜひじっくりと以下のポイントを観察してみてください。
収穫量を左右する見分け方のコツ3選

店頭にはたくさんの苗が並んでいますが、簡単なチェックポイントを知っておくだけで、元気に育つ「当たり」の苗を見分けることができます。
ポイント1:茎の太さとハリ
まず、苗の生命線ともいえる茎に注目します。ひょろひょろと頼りない細い茎ではなく、鉛筆くらいの太さがあり、がっしりとした茎の苗を選びましょう。手で軽く触れてみて、しっかりとしたハリ(弾力)があるものが理想的です。
ポイント2:葉の色と数
次に、健康状態が最も表れやすい葉を観察します。葉の色が病的な黄色や薄い緑ではなく、生き生きとした濃い緑色をしているものを選んでください。葉の数は、小さすぎるものを除いて5枚~7枚程度ついているのが、栄養を十分に蓄えている目安です。
ポイント3:節と節の間隔
さつまいもは、茎にある「節」の部分から根を出し、その根が芋へと成長します。そのため、節と節の間隔が短く、キュッと詰まっている苗ほど、たくさんの芋がつく可能性を秘めています。間延びした苗は避けましょう。葉や茎に病害虫の跡がないかも同時にチェックしてください。
良い苗のチェックリスト
- 茎が鉛筆くらいの太さでしっかりしているか
- 葉の色が濃い緑色でツヤがあるか
- 節と節の間が詰まっているか
- 葉や茎に病害虫の跡がないか
- 全体の長さが25〜30cm程度で扱いやすいか
プラグ苗 vs さし苗 どっちを選ぶべき?

ホームセンターで販売されているさつまいもの苗には、主に「さし苗(芋づる)」と「プラグ苗」の2種類が存在します。それぞれに明確な特徴があります。
| 種類 | 特徴 | メリット | デメリット | おすすめな人 |
|---|---|---|---|---|
| さし苗(芋づる) | つるを一定の長さに切った、根がない状態の苗。 |
|
|
・家庭菜園初心者 ・コストを抑えたい人 |
| プラグ苗 | 小さなポット(プラグトレー)の中で、あらかじめ発根させた状態の苗。 |
|
|
・絶対に失敗したくない人 ・大量に栽培する人 |
結論として、一般的な家庭菜園で手軽に始めたい初心者の方であれば、まずは入手しやすく安価な「さし苗」からチャレンジするのがおすすめです。
【補足】ウイルスフリー苗(バイオ苗)とは?
園芸コーナーで「ウイルスフリー苗」や「バイオ苗」という表示を見かけることがあります。これは、専門の施設でウイルスに感染しないよう無菌培養された、非常に健康で病気に強い苗のことです。(参考:農林水産省:種苗類のウイルス病)。
価格は通常の苗よりも1束500円~800円程度と少し高めですが、生育が旺盛で収量も期待できるため、失敗のリスクを大幅に減らしたい初心者の方には特におすすめの選択肢です。
苗の購入場所比較!通販とホームセンター
主な購入場所はホームセンターですが、通販サイトという選択肢もあります。それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。
通販サイトのメリットと注意点(送料コスト)

インターネットの種苗店などの通販サイトでは、店舗での販売より一足早く、早いところでは3月頃から予約の受付を開始します。
最大のメリットは、その品揃えの豊富さにあり、ホームセンターでは見かけないような珍しい品種も確実に入手できます。
通販サイトの注意点
デメリット・注意点:
- 送料込みの総額が高くなる:苗の本体価格に加えて送料がかかるため、ホームセンターで購入するより割高になります。
- 実物を見て選べない:自分の目で苗の状態を確認できないため、初心者にはリスクがあります。
- 配送リスク:配送中に苗が弱ってしまう可能性があります。
これらの理由から、特にこだわりがない限りは、まずはお近くのホームセンターで実際に苗を見て選ぶことを強くおすすめします。
苗の購入後にやるべきこととQ&A
良い苗を購入できたら、あともう少しです。植え付けのタイミングや保存方法、その他の疑問について解説します。
植え付けに最適なタイミング(地温15℃以上)

良い苗を購入できたら、次は植え付けです。最適なタイミングは「遅霜の心配がなくなり、地中の温度(地温)が安定して15℃以上になった頃」です。
気温の目安としては、最低気温が10℃を下回らない日が続くようになったら、植え付けのサインと考えてよいでしょう。全国的には、5月上旬から6月下旬がこの条件に当てはまる時期となります。
早すぎる植え付けはNG!
まだ地温が低い時期に植え付けてしまうと、苗の根の活着が悪くなり、うまく育ちません。最悪の場合、つるが枯れてしまうこともあります。
すぐに植えられない時の正しい保存方法

苗を購入したものの、「畑の準備が間に合わない」「雨が続いている」といった場合は、正しい方法で保存しましょう。
最もおすすめの方法は、バケツや発泡スチロールの箱に1cmほどの浅さで水を入れ、そこに苗の根元を浸して立てかけておく方法です。この方法であれば、1週間程度は鮮度を保つことができます。
正しい保存のポイント
- 場所:直射日光の当たらない、涼しい日陰に置く。
- 水やり:水は毎日必ず取り替えて、清潔な状態を保つ。
- 注意点:水を深く入れすぎないこと。根元が少し浸る程度で十分です。
苗は何本くらい購入すれば良い?

目安として、さつまいもの苗1本から、平均して3個〜5個の芋が収穫できると考えてください。例えば、20個のさつまいもを収穫したいのであれば、最低でも5本〜7本程度の苗が必要になる計算です。
植え付けの密度については、畑の場合、株と株の間隔(株間)を30cm程度あけるのが一般的です。1㎡あたりに4〜5本植え付けられると考えると、スペースから必要な本数を計算できます。
プランター栽培で気をつけることは?

さつまいもはプランターでも栽培可能ですが、成功させるためにはプランターのサイズが最も重要です。深さが最低でも30cm以上、容量が20L以上ある大型の野菜用プランターを選んでください。
また、用土は水はけが良い「野菜用の培養土」を使用し、プランターの底に鉢底石を敷いて水はけを良くする工夫も効果的です。
苗を買う前に準備すべきことは?

どれだけ元気で良い苗を手に入れても、植え付ける畑の準備ができていなければ、その後の生育はうまくいきません。苗を購入する前に、さつまいもが快適に育つための「ベッド」を万全に整えておきましょう。
土作りと畝立て
さつまいもは、日当たりと水はけの良い土壌を好みます。植え付けの2週間ほど前に苦土石灰をまいて耕し、1週間前に堆肥や肥料を施して混ぜ込みます。その後、幅50cm~60cm、高さ30cmほどの高めの畝(うね)を立てておきます。
マルチングの実施
畝を立てた後、黒いポリエチレンフィルム(黒マルチ)で畝全体を覆うことを強くおすすめします。地温の確保、土壌水分の保持、雑草の抑制に絶大な効果があります。
去年収穫した芋から苗は作れる?
A3. はい、可能です。収穫した芋から芽を出させて、それを育てて苗(つる)にすることができます。しかし、この方法で育てた苗は、親芋がウイルスに感染している可能性があり、生育不良や収穫量の大幅な減少につながるリスクがあります。そのため、毎年新しく、信頼できる店舗で販売されている苗を購入するのが最も確実で安全な方法と言えます。
さつまいも苗の販売時期とホームセンター情報の総括
- さつまいも苗の販売時期はホームセンターで4月下旬から6月中旬が一般的
- 品揃えのピークはゴールデンウィーク頃で、平日の午前中が狙い目
- 値段の相場は1束10本入りで300円から800円程度
- カインズやコメリ等の店舗で価格や品揃え、サービスに特徴がある
- 紅はるか等の人気品種は、紅あずま等の定番品種より高価な傾向
- 通販は珍しい品種が手に入るが、送料込みで割高になるため注意
- 良い苗は「茎が太く」「葉の色が濃く」「節間が詰まっている」ものを選ぶ
- 初心者には安価で入手しやすい「さし苗」がおすすめ
- 失敗したくない場合は「ウイルスフリー苗」や「プラグ苗」も選択肢
- 苗の購入前には、土作りと畝立て、マルチングを済ませておく
- 植え付けは地温が15℃以上になる5月上旬から6月下旬が最適
- すぐに植えられない場合は、根元を浅く水に浸けて日陰で保存する

