台所で保存していたさつまいもから、いつの間にか可愛い芽が出てきてしまい、「これ、もう食べられないの?捨てるしかない?」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。さつまいも 芽が出たら植えるチャンスです!実はその芋は、家庭菜園で種芋として再利用できる素晴らしい素材なのです。
じゃがいもとは違い、さつまいもの芽には毒性がないため、適切な手順を踏めば、このさつまいもを親にして、自宅で簡単に苗(芋づる)を作り、秋にはホクホクの美味しい芋を収穫することができます。
しかし、さつまいも栽培の成功は「芽出しの方法」と「植える時期」にかかっています。「芽が出たから畑に丸ごと植える」という方法は、残念ながら期待通りの収穫は得られません。
本記事では、芽が出たさつまいもを無駄にせず、立派な苗を育てて植えるまでの全ステップを、初心者の方でもわかりやすいように解説します。
- さつまいもの芽に毒性があるかどうか、食べられるかの判断基準がわかります
- さつまいもの「芽出し」に最適な「植える時期」の目安がわかります
- 畑に「丸ごと植える」方法がなぜ非推奨なのか、そのデメリットを理解できます
- 種芋を使った正しい「芽出しの方法」(伏せ込み)の手順を習得できます
- 「水耕栽培」や「つるさし」など、簡単な「苗の増やし方」も把握できます
さつまいもの芽出しと植える時期(準備編)
さつまいもの芽に毒性はあるか?

多くの読者がまず心配されるのが、さつまいもの芽に毒性があるかどうかという点です。結論から申し上げますと、さつまいもの芽には毒性は含まれていません。しかし、注意しなければならない点があります。
注意・デメリット
芽が出たさつまいもは、芋の内部にある養分が芽の成長に使われてしまうため、芋本体がスカスカになったり、甘みが落ちたりと食味が落ちる可能性があります。
もし、芋の表面が黒ずんでいたり、カビが生えて異臭がしたりする場合は、芽のせいではなく腐敗が進んでいるサインであるため、食べるのは避けるのが賢明です。
もちろん、じゃがいもの芽に含まれる有害物質「ソラニン」のように、さつまいもの芽に人体に害を及ぼす成分は含まれていません。(参考:農林水産省:ジャガイモの芽や緑色の部分に含まれる天然毒素について)そのため、芽を取り除き、芋の状態が良好であれば食べても問題ありませんが、多くの場合は苗作りの親芋(種芋)として活用することをおすすめします。
最重要!さつまいもの芽出しと植える時期

さつまいも栽培で最も重要なのが、「芽出し(苗づくり)」と「植える時期」のスケジュール管理です。
苗(つる)を畑に植える時期の適期は、遅霜の心配がなくなり、地温が十分に上がった5月中旬から6月上旬(地域によります)です。
そして、その苗を作るための「芽出し」(伏せ込み)は、畑への植え付けから逆算して、3月下旬から4月頃に開始するのが一般的です。
その理由は、種芋を伏せ込んでから植え付けに使える長さ(25〜30cmほど)の芋づるが採れるようになるまでに、およそ1ヶ月半から2ヶ月ほどかかるためです。特に芽出しには、25℃〜30℃の温度が適しており、15℃以下では生育が悪くなり、8℃を下回ると種芋が腐る原因にもなります。
芽出し(伏せ込み)は3月〜4月頃から、畑への植え付けは5月〜6月頃を目安に始めましょう。この植える時期を逃してしまうと、秋の収穫までに芋が十分に肥大しない可能性があるため、注意が必要です。
ジャガイモの植え方との根本的な違い
多くの人が「芋を植える」と聞いてイメージするのが、ジャガイモ(馬鈴薯)の栽培方法です。
ジャガイモは、種芋をカットし、その「かけら」を土に植えます。これは、ジャガイモの「芋」が「茎(地下茎)」が肥大したものであり、芋にある「くぼみ(芽)」から新しい茎や根が伸びて成長するためです。
一方、さつまいもの「芋」は「根」が肥大したものです。そのため、芋本体を土に植えても、ジャガイモのようには増えません。さつまいもは、芋から発芽した「つる(茎)」を育て、その「つる」を土に植える(挿し芽・挿し苗)ことで、つるの節から新しい根を発生させ、芋を育てます。
| 項目 | ジャガイモ(馬鈴薯) | さつまいも(甘藷) |
|---|---|---|
| 分類(食べる部分) | 茎(地下茎) | 根(塊根) |
| 増やし方 | 種芋(芋のかけら)を植える | 苗(つる)を植える |
| 属する科 | ナス科 | ヒルガオ科 |
このように、同じ「芋」と呼ばれていても、植物としての性質が根本的に異なることを理解するのが重要です。
【注意】「丸ごと植える」方法の大きな誤解
畑への「丸ごと植える」は非推奨

「さつまいも 芽が出たら植える」と検索する方がよく陥る誤解が、「芋をそのまま畑に丸ごと植える」ことです。結論から申し上げますと、収穫目的でさつまいもの芋(種芋)をそのまま畑に丸ごと植える方法は、おすすめできません。
ジャガイモと同じ感覚で植えてしまうと、期待したような収穫が得られない可能性が非常に高いです。さつまいもは、前述の通り「苗(つる)」を植えて育てるのが一般的な栽培方法となります。
「丸ごと植える」という行為自体は、さつまいも栽培の工程に存在しますが、それは畑で芋を収穫するためとは目的が異なります。まずは、なぜ畑に丸ごと植えるのが推奨されないのか、その理由を見ていきましょう。
デメリット1:親芋を植える病気のリスク

畑に芋をそのまま植えることの大きなデメリットの一つが、病気のリスクです。
さつまいもは、「つる割病」などの土壌伝染性の病気にかかりやすいとされています(参考:(公社)日本植物防疫協会:サツマイモつる割病発生農家圃場における 発生要因)。もし、植えようとしている親芋(種芋)がウイルスや病原菌に感染していた場合、それがそのまま畑の土壌や、新しくできようとする芋に伝染してしまう恐れがあります。
病気の持ち込みに注意
特に、前年に収穫した芋や、食用の芋を種芋として使う場合、それらが病気を持っていないという保証はありません。病気が一度畑に広がると、その土壌では数年間さつまいもが作れなくなる(連作障害)可能性もあり、細心の注意が必要です(参考:全農:連作障害の回避)。
一方、園芸店などで販売されているさつまいもの「苗」は、こうした病気のリスクを避けるため、「ウイルスフリー苗」として専門的に生産・管理されているものが多くあります(参考:タキイ種苗株式会社:サツマイモ – 野菜栽培マニュアル | 調べる)。
デメリット2:収穫減と品質低下の懸念
仮に病気のリスクをクリアできたとしても、芋を丸ごと植える方法は収穫効率の面で非常に劣ります。
さつまいもは、芋から直接新しい芋ができるわけではなく、芋から伸びた「つる」の節々から根(不定根)が伸び、その一部が太って芋になります。
もし芋を丸ごと1箇所に植えてしまうと、どうなるでしょうか。
- 1箇所から大量のつるが密集して発生します。
- 栄養が分散し、それぞれのつるが十分に生育できません。
- 結果として、親芋の周りに小さく細長い芋や、形の悪い芋が数個できるだけで、期待するような収穫量にはまずなりません。
本来、1つの種芋からは10本~30本程度の苗(つる)を採ることが可能です。その苗を1本ずつ畑に植えれば、それぞれが1株として成長し、多くの芋を収穫できます。芋を丸ごと1個植えることは、その可能性をたった1株のために使ってしまう、非常に非効率な方法なのです。
スーパーの芋は種芋になる?

「では、スーパーで買ってきたさつまいもから芽が出た場合、これを種芋として使えないのか?」という疑問もよく聞かれます。
結論としては、「使えなくはないが、推奨しない」となります。
食用さつまいもを種芋にするリスク
スーパーなどで販売されている食用のさつまいもには、以下のようなリスクや特性があります。
- キュアリング処理:多くの場合、長期保存のために「キュアリング処理」(高温多湿の環境で表皮をコルク化させる処理)が施されています。(農研機構:輸送中のかんしょ腐敗への対応)。これにより、芽が出にくくなっている、あるいは逆に腐りやすくなっている場合があります。
- 病気のリスク:前述の通り、見た目では分からない病気(ウイルスなど)を持っている可能性を否定できません。
- 品種の不確かさ:品種名が表示されていても、それが苗作りに適した状態であるかは不明です。
もし、芽が出た芋をどうしても活用したい場合は、畑に直接植えるのではなく、次項で説明する「伏せ込み(ふせこみ)」という苗作りのために利用することを検討しましょう。
さつまいもの芽出しの方法:伏せ込み(土植え)
「伏せ込み」こそが正しい芽出しの方法

さつまいも 芽が出たら植える——その正しい答えは、畑に直接植えるのではなく、苗床(プランターや育苗箱)で苗(つる)を育てる作業、すなわち「伏せ込み(ふせこみ)」を行うことです。これが伝統的かつ確実な「芽出しの方法」です。
伏せ込みとは、種芋を丸ごと(あるいは半分にカットして)、プランターや育苗箱などの「苗床(なえどこ)」に浅く植え付け、保温・保湿して発芽させ、伸びてきたつるを収穫(苗取り)する一連の工程です。
「伏せ込み」が正しい種芋の使い方
つまり、「種芋を丸ごと植える」のは、畑ではなく苗床(プランターなど)であり、目的は芋の収穫ではなく苗の収穫です。ここが最大のポイントとなります。
種芋をお湯で殺菌する手順

健康な苗を育てるためには、種芋から病気の原因となる菌を取り除くことが大切です。そこで、芽出しを始める前に、種芋のお湯での殺菌処理をおすすめします。
主な目的は、黒斑病などの病気を予防することです。殺菌処理を行うことで、種芋の表面に付着している細菌やカビの胞子などを除去し、その後の腐敗を防ぎ、健康な芽が出やすい環境を整えることができます。
お湯による殺菌方法
さつまいもを殺菌するには、以下の手順で行います。
- お湯の温度を47℃〜48℃に調整します。熱すぎると芋が傷む可能性があるため、温度管理には注意してください。
- 種芋全体が浸るように、この温度のお湯に約40分間浸します。途中で温度が下がらないよう、温度計で確認しながら適宜お湯を継ぎ足して保温します。
- 殺菌処理が終わったら、さつまいもを水で洗い、乾燥させてから芽出しの工程に進みます。
もちろん、この殺菌をせずに芽出しを始めることも可能ですが、万が一の病気予防を考えると、このひと手間をかけることがその後の栽培の成功につながります。
伏せ込み(土植え)の具体的な手順

家庭菜園でも、プランターや発泡スチロールの箱などを利用して「伏せ込み」に挑戦することができます。
準備するもの
- 種芋:200~300g程度が目安。芽が出た芋や、病気や傷、変色がなくハリのある芋を選びます。
- 容器(苗床):深さが20cm程度あるプランターや発泡スチロール箱など。水抜き穴(排水穴)があることを確認してください。
- 土:園芸用の培養土や、清潔な畑の土で構いません。
- 保温資材:透明なビニールシート、新聞紙、籾殻、古い毛布など。
伏せ込み(植え方)の手順
- 容器に土を半分ほど入れます。
- さつまいもを横向きに寝かせるように置きます。複数の芋を並べる場合は、芋同士が触れ合わない程度に間隔をあけます。
- 芋が隠れるか隠れないか、約5cmほどの深さになるように上から土をかぶせます。深く植えすぎると芽が出にくくなるため注意が必要です。
- たっぷりと水を与えます。
最重要ポイント:温度管理と保温の工夫
さつまいもが発芽するための適温は、地温が25℃~30℃と、かなり高温です。伏せ込みを行う3月~4月はまだ気温が低いため、保温対策が成功のカギを握ります。
地温を確保する工夫
- 日当たりの良い、暖かい場所に置きます。
- 容器全体を透明なビニール袋で覆ったり、ビニールトンネルをかけたりして温室状態を作ります。
- 気温が下がる夜間は、発泡スチロールのフタをしたり、容器の周りを丸めた新聞紙や断熱材代わりの籾殻、古い毛布などで覆ったりして保温します。
- 土が乾いたら水を与えますが、水のやりすぎは芋が腐る原因になります。地温が低い状態での過湿は厳禁です。
適切な温度が保てれば、約1ヶ月ほどでつるが次々と伸びてきます。
その他の芽出し・苗の増やし方
キッチンで手軽に!「水耕栽培」で芽出し

畑やプランターがなくても、キッチンで観葉植物のようにさつまいもを育てながら苗を増やす方法が「水耕栽培」です。これも手軽な「芽出しの方法」の一つで、緑のインテリアとしても楽しむことができます。
水耕栽培の始め方
準備するものは、さつまいもと、それを支えられる容器(ガラス瓶やペットボトルなど)だけです。
- 容器にセットする
容器に水を入れ、さつまいもの下半分が水に浸かるようにセットします。 - 日当たりの良い場所に置く
明るい窓辺などに置き、根や芽が出てくるのを待ちます。 - こまめに水を替える
水が腐らないように、毎日水を交換することが成功の秘訣です。 - 苗として利用する
数週間で根と芽が伸び、葉が7~8枚になったら芋から切り離し、苗として畑やプランターに植え付けられます。
葉っぱも美味しく食べられる!
水耕栽培で大きく育った芋を収穫することは難しいですが、伸びたつるや葉は「さつまいもの葉」として食べることができます。炒め物やおひたしにすると、シャキシャキとした食感で美味しいです。観賞用としてだけでなく、食材としても活用できるのが魅力です。
簡単・確実な「苗の増やし方」:つるさし

すでに苗(つる)が手元にある場合、最も手軽で成功率が高い「苗の増やし方」が「つるさし(挿し穂)」です。購入した苗や、すでに畑で元気に育っている親株のつるを利用します。
手順は簡単4ステップ
つるさしの手順は非常にシンプルで、初心者の方でも迷うことはありません。
- 元気なつるを選ぶ
病害虫がなく、葉の色が濃く生き生きとしているつるを選びます。長さが30cm以上に伸びているものが理想的です。 - つるをカットする
先端から葉が7~8枚ついた状態で、長さ25~30cmを目安に清潔なハサミでカットします。 - 水に浸ける(水あげ)
カットしたつるの切り口をコップなどに入れ、2~3時間ほど水に浸けておきます。このひと手間で、つるが水分をしっかり吸収し、植え付け後の活着率が格段にアップします。 - 畑やプランターに植え付ける
葉を2~3枚地上に出し、残りの節が土に埋まるよう、つるを寝かせるように浅く植え付けます。土に埋まった節から新しい根が出てきます。
「ポット苗」から効率よく増やす方法

ホームセンターなどで販売されているポット苗、特に「ウイルスフリー苗」を親株として使うと、病気のリスクが低く、質の良い苗を効率的に増やすことができます。
基本的な増やし方は「つるさし」と同じですが、ポット苗からより多くのつるを発生させるためのコツがあります。それは「摘心(てきしん)」という作業です。
摘心とは、つるの先端にある芽(生長点)を摘み取る作業のことです。中心の芽の成長を止めることで、葉の付け根にある「わき芽」の成長が促され、つるの数が増えるのです。
摘心でわき芽を増やす手順
- ポット苗を植え付け、本葉が7~8枚になるまで育てます。
- つるの先端にある一番新しい芽を、指やハサミで摘み取ります。
- しばらくすると、各葉の付け根から新しいわき芽が伸びてきます。
- 伸びてきたつるが25~30cmになったら、それを切り取って「つるさし」用の苗として利用します。
この方法を使えば、1つのポット苗から7~8本の苗を確保することも可能です。少しでも質の良い芋をたくさん収穫したい方は、この方法が最適でしょう。
育てた苗の植え付けと管理
苗の収穫と植え付け準備(不定根)

「伏せ込み」や「水耕栽培」で育てた芋づる(苗)は、畑に植える前にひと手間加えることが成功の鍵です。芽出しで育ったつるが25〜30cm(葉が7〜8枚)になったら、種芋の根本から2〜3節を残して清潔なハサミで切り取ります。
なぜカットするのか?
芋から引き抜かず、あえてカットするのにも理由があります。これは、万が一親芋が病気を持っていた場合に、病原菌を苗に持ち込ませないためです。カットすることで、病気のリスクをリセットする(断ち切る)意味合いがあります。
切り取った苗はすぐに植えるのではなく、植え付け前に発根を促す処理をします。このときに生えてくる白い根のようなものを不定根と呼び、この根が将来的に肥大化してさつまいもになります。
補足・豆知識(不定根の出し方)
切り取った苗を日陰で3日〜4日ほど風通しの良い場所に干す方法が推奨されます。こうすることで苗の切り口が乾燥し、病原菌の侵入を防げます。また、植え付け前にしおれた状態にすることで、土に植えた後に水分を必死に求めて根を伸ばそうとする性質(活着力)が強まります。
この不定根が生えてきたタイミングこそが、苗として畑やプランターに植えるサインです。
収量が変わる!正しい植え付け方
苗の植え付け方法にはいくつか種類があり、それぞれ収穫できる芋の数や大きさに影響を与えます。さつまいもの苗は、土の中に埋まった「節(せつ)」から根を出し、その根が肥大して芋になるため、できるだけ多くの節を土に埋めることが収量を増やすコツです。
| 植え付け方 | 特徴 | 採れる芋の傾向 |
|---|---|---|
| 水平植え(船底植え) | 苗を水平またはU字型に寝かせて植える。多くの節が土に埋まる。 | 数が多く、サイズは小さめ |
| 斜め植え | 苗を斜め45度に挿すように植える。一般的に最も多く採用される。 | 数、大きさともにバランスが良い |
| 垂直植え | 苗を垂直に深く植える。埋まる節の数は少ない。 | 数が少ないが、サイズが大きい |
特にプランターなどの限られたスペースで植える場合は、垂直植えが適しています。逆に畑などの広い場所で多くの芋を収穫したい場合は、水平植えや斜め植えが推奨されます。いずれの場合も、苗の先端にある成長点(新しい葉が出る部分)は土に埋めずに地上に出しておくことが大切です。
畑の準備:マルチシートを活用するメリット

さつまいもを栽培する際、畑の畝(うね)を黒いビニールシートで覆う「マルチング」を行うと、生育が格段に良くなり、管理の手間も大幅に削減できます。この黒いビニールシートを「マルチシート」または「黒マルチ」と呼びます。
マルチシートを活用することには、主に4つの大きなメリットがあります。
- 地温の確保
黒い色が太陽の熱を吸収し、土の温度を高く保ちます。これにより、特に植え付け初期の苗の活着と成長を促進します。 - 雑草の抑制
シートが光を遮るため、雑草が生えてくるのを強力に防ぎます。面倒な草取りの手間がほとんどなくなります。 - 乾燥の防止
土の表面が覆われることで、水分の蒸発を防ぎます。水やりの回数を減らすことができ、安定した土壌水分を保てます。 - 病害虫の軽減
泥はねを防ぐことで、土の中にいる病原菌が葉に付着するのを防ぐ効果が期待できます。
さつまいもに最適な土壌と肥料(つるぼけ)

さつまいもは、他の野菜とは異なり、痩せた土地でも十分に育つという特性を持っています。むしろ、肥料を与えすぎると、「つるぼけ」という現象を引き起こし、葉やツルばかりが茂って、肝心の芋が肥大しないという結果になりかねません。
そのため、さつまいも栽培では、土づくりの段階から肥料を控えめにすることが重要です。
ポイント・要点
さつまいも栽培に最適な土壌は、水はけと通気性の良い土です。元肥としてわずかな有機肥料を使用し、植え付け後の追肥は基本的に不要と考えてください。特に窒素分が多い肥料は、つるぼけの原因となるため、使用を避けるのが賢明です(参考:北海道立総合研究機構:さつまいも 栽培マニュアル)。
つる返しとつるぼけを防ぐ管理法

植え付けから夏にかけて、さつまいものツルは旺盛に伸びて地面を這うようになります。このツルから地面に向かって根が張ってしまうと、その根からも小さな芋ができようとして、親芋に送られるべき養分が分散してしまい、結果的に収穫できる芋の大きさが小さくなってしまいます。このため、定期的に行う必要がある作業がつる返しです。
つる返しは、ツルを持ち上げて地面に張った根を切り離し、ツルをひっくり返して反対方向に移動させる作業です。これを月に1〜2回程度行うことで、養分を地中の親芋に集中させることができます。
収穫の目安と甘みを出す保存方法

さつまいもの収穫時期は、植え付けから約120日〜150日後が目安となります。具体的には、9月〜11月頃で、霜が降りる前に掘り上げるのが理想です。収穫のタイミングを見極めるには、以下の点を参考にしてください。
収穫の目安
- 葉っぱやツル全体が黄色くなり、勢いがなくなってきたとき。
- 植え付けから十分な日数が経過したのを確認し、試し掘りをして芋の肥大を確認したとき。
土が乾いている晴れた日を選んで、芋を傷つけないように注意深く掘り上げてください。収穫したさつまいもは、すぐに食べるよりも一手間加えることで、さらに甘みが増し美味しくなります。
ポイント・要点
収穫直後のさつまいもは、デンプンが糖に変わるまでに時間が必要です。収穫後、表面を乾かしてから新聞紙などに包み、10℃〜15℃の冷暗所で2週間ほど保存・追熟させることで、甘み成分が増し、より美味しく食べられます。(参考:農林水産省:サツマイモができるまで・貯蔵)これはキュアリング処理に近い効果を生みます。
さつまいもの芽出しと植える時期の総まとめ

さつまいもが芽を出たら植える絶好のチャンスです。この芋を親(種芋)にして苗を作り、正しく植えることで、秋には大きな喜びとなって返ってくるでしょう。最後に、栽培を成功させるための重要なポイントをまとめます。
- 芽が出たさつまいもは毒性がないが、食味が落ちる可能性があり苗作りの親芋として最適
- さつまいもを収穫目的で畑に「丸ごと植える」のは非推奨(病気や収穫減のリスク)
- ジャガイモ(茎)とさつまいも(根)は増え方が根本的に違う
- 正しい「芽出しの方法」は、苗床で苗を育てる「伏せ込み」を指す
- 「伏せ込み」は畑に苗を「植える時期」(5月〜6月)から逆算して3月頃に始める
- 伏せ込み成功の鍵は地温25℃〜30℃の温度管理
- 保温には「発泡スチロール」の箱やフタ、「新聞紙」、「籾殻」などが有効
- 「水耕栽培」でも手軽に芽出しが可能で、観賞用や葉の食用にもなる
- 病気を防ぐため、芽出し前に種芋を47℃〜48℃のお湯で殺菌処理する
- 植え付けに使う芋づるは25〜30cmに伸びたら根本を数節残してカットする
- 苗をカットするのは親芋からの病気のリスクを断ち切るため
- 簡単な「苗の増やし方」として、伸びたつるを切って植える「つるさし」がある
- 市販の「ポット苗」の先端を摘心しても、苗を効率よく増やせる
- 植え付けは斜め植え(芋が大きく)や水平植え(芋が多く)を選ぶ
- 初心者は市販の「ウイルスフリー苗」を購入するのが最も確実で簡単

