じゃがいものあく抜きは何分水にさらすか、水にさらさないか解説

じゃがいものあく抜き。何分水にさらす?水にさらさない?使い分け 食材

じゃがいも料理の下ごしらえで、「水にさらす」という工程があります。レシピによって指示が異なり、じゃがいものあく抜きを何分水にさらすべきか、あるいは水にさらさない方が良いのか、迷うことも多いのではないでしょうか。

このひと手間には、変色を防ぐだけでなく、余分なデンプンを落として食感を良くする大切な理由があります。しかし、料理によってはその手間が不要な場合や、逆に風味を損ねてしまうケースも存在します。

この記事では、なぜじゃがいもを水にさらすのかという根本的な理由から、料理の目的に合わせた最適な時間、あえてあく抜きをしない選択肢、そして下ごしらえ以前に知っておくべき安全性まで、網羅的に詳しく解説します。

  • じゃがいもを水にさらす(あく抜き)2つの主な理由
  • 料理の目的別(食感・調理法)に最適な時間
  • あえて水にさらさない方が良い料理とその理由
  • あく抜きより重要な、じゃがいもの安全性(緑色の部分)の見極め方

こちらの記事も読まれています

じゃがいものあく抜きは何分水にさらすか、水にさらさないかの判断

じゃがいもを水にさらすかどうか、またその時間は、「変色を防ぎたいか」「どんな食感に仕上げたいか」によって決まります。この工程は、すべての料理に必須というわけではなく、目指す仕上がりによって使い分けるのが正解です。まずは、なぜ水にさらす必要があるのか、その基本的な目的と、料理ごとに最適な時間の目安を解説します。

料理別:水にさらす時間の目安
料理の目的・種類 時間の目安 主な理由
煮物・サラダ・汁物 (変色防止・煮崩れ防止) 5分〜10分 表面のデンプンを軽く落とし、変色を防ぐ
炒め物・揚げ物 (シャキッと・カリッとさせたい) 10分以上(15分程度) デンプンをしっかり落とし、くっつきや焦げ付きを防ぐ
煮物・コロッケ・ポタージュ (ホクホク・もっちりさせたい) 不要(またはサッと洗う) デンプンを活かし、食感やとろみを持たせる

あく抜きの目的:変色を防ぐ

あく抜きの目的:変色を防ぐ

じゃがいもを切ってそのまま放置すると、切り口が数分で黒っぽく変色してしまいます。これは、りんごやバナナが空気に触れると茶色くなるのと同じ原理です。

じゃがいもには「チロシン」というアミノ酸の一種と、酸化酵素(ポリフェノールオキシダーゼ)が含まれています。これらが空気に触れることで化学反応(酸化)が起こり、メラニンという黒〜茶色の色素が生成されます。これが変色の正体です。

切ったじゃがいもをすぐに水にさらす最大の目的は、切り口を水でコーティングして空気(酸素)を遮断し、この酸化酵素の働きを止めて変色を防ぐことです。特にポテトサラダや和え物、汁物など、じゃがいも自体の色を白くきれいに見せたい料理では、この工程が仕上がりの美しさを大きく左右します。

あく抜きの目的:余分なデンプン除去

あく抜きの目的:余分なデンプン除去

じゃがいもを水にさらすもう一つの重要な目的は、表面の余分なデンプンを洗い流すことです。じゃがいもを水に浸けると水が白く濁りますが、これがデンプンです。このデンプンが、料理の仕上がりを邪魔することがあります。

デンプンが残るデメリット

  • 食感が悪くなる(ベチャッとする) デンプンには粘り気があるため、じゃがいも同士がくっつく原因になります。特に、きんぴらや野菜炒めなど、シャキシャキとした食感を出したい料理では、デンプンが残っていると全体がベチャッとした仕上がりになってしまいます。
  • 焦げ付きやすくなる デンプンに含まれる糖質は、高温で加熱すると焦げ付きやすくなります。フライドポテトやジャーマンポテトなど、しっかり焼いたり揚げたりする料理では、表面のデンプンが焦げ付き、中まで火が通る前に黒くなってしまう原因になります。

水にさらしてこの余分なデンプンをしっかり落とすことで、炒め物はシャキッと、揚げ物はカリッとした理想的な食感に仕上げることができるのです。

基本の時間:5分から10分水にさらす

基本の時間:5分から10分水にさらす

あく抜きの時間は、料理によって調整するのがベストです。一般的な目安として、「5分から10分程度」水にさらすのが基本とされています。

この時間設定は、主に変色防止を目的とした場合や、煮物(肉じゃがなど)、カレー、シチュー、ポテトサラダ(下茹で前)などに適しています。表面のデンプンを軽く洗い流しつつ、後述する栄養素の流出を最小限に抑え、変色を防ぐのに十分な、バランスの取れた時間です。

ボウルにたっぷりの水を入れ、切ったものから順に入れていきましょう。水が白く濁ってきたら、デンプンが流れ出ている証拠です。

揚げ物や炒め物は10分以上

揚げ物や炒め物は10分以上

前述の通り、フライドポテトや野菜炒め、きんぴらごぼう、ガレット(細切りじゃがいものパンケーキ)など、食感を重視する料理の場合は、基本よりも少し長く水にさらすことをおすすめします。

目安は「10分から15分程度」です。時間をかけて表面のデンプンをしっかりと洗い流すことで、デンプンの粘りによるくっつきを防ぎます。これにより、炒め物はシャキシャキとした歯ごたえに、揚げ物は表面がカリッとしたプロのような仕上がりになります。

水気はしっかり拭き取ること

水にさらした後は、ペーパータオルなどでしっかりと水気を拭き取ることが非常に重要です。特に油で炒めたり揚げたりする際、水分が残っていると激しく油がはねて火傷の原因になります。また、水気が残っていると表面がカラッと揚がらず、仕上がりが水っぽくなってしまいます。

煮物でホクホクなら省略も可能

煮物でホクホクなら省略も可能

では、じゃがいもは必ず水にさらさなければならないのでしょうか。答えは「いいえ」です。料理によっては、あえて「水にさらさない」という選択が正解になります。

それは、デンプンが持つ「ホクホク感」や「とろみ」を活かしたい場合です。

  • ホクホク感を活かす料理: 粉ふきいもやコロッケ、ポタージュなど、じゃがいものホクホクとした食感を前面に出したい料理では、デンプン質がその食感を生み出します。水にさらしてデンプンを流出させてしまうと、水っぽくベチャッとした仕上がりになりがちです。
  • とろみを活かす料理: カレーやシチューのとろみの一部は、じゃがいものデンプンが煮汁に溶け出すことによって生まれます。デンプンを落としすぎると、自然なとろみがつきにくくなります。

水にさらさない場合の鉄則

デンプンを活かすために水にさらさない場合は、変色を防ぐため、切ったらすぐに調理(加熱)することが絶対のルールです。切ったまま数分でも放置すると、酸化が始まり変色してしまいます。

長時間のリスク:栄養と味が流出

長時間のリスク:栄養と味が流出

あく抜きはメリットが多い一方で、明確なデメリットも存在します。それは、長時間水にさらしすぎることです。

じゃがいもに含まれる代表的な栄養素であるビタミンCやカリウムは「水溶性」です。これは、水に溶け出しやすい性質を持っていることを意味します。

そのため、必要以上に長く(例えば30分以上など)水に浸しておくと、これらの栄養素が必要以上に水に溶け出してしまいます。栄養価が下がるだけでなく、じゃがいも本来の風味や旨味成分も一緒に流出してしまうため、味がぼやけた水っぽい仕上がりになってしまいます。

あく抜きは目的(変色防止・デンプン除去)に応じて、必要最小限の時間(5分〜15分)で行うことが、栄養と美味しさを両立させる最大のコツです。

Q&A:あく抜きを忘れたらどうなる?

Q&A:あく抜きを忘れたらどうなる?

料理の途中で「あく抜きを忘れた!」と気づくこともあるかもしれません。そんな時でも慌てる必要はありません。

まず、後述する「緑色の部分」や「芽」がきちんと処理されていれば、あく抜きを忘れたじゃがいもを食べても健康上の害はありません。

ただし、料理の仕上がりには以下のような影響が出る可能性があります。

あく抜きを忘れた場合の影響

  • 変色(見た目): 切ってから時間が経っていると、切り口が黒ずみ、料理の見た目が悪くなることがあります。(例:ポテトサラダが灰色っぽくなる)
  • 食感(ベチャッとする): デンプンが残っているため、炒め物ではじゃがいも同士がくっつき、シャキシャキ感が失われベチャッとした食感になりやすいです。
  • 焦げ付き(調理中): 揚げ物や焼き物の場合、表面のデンプンが糖化し、焦げ付きやすくなることがあります。

調理直前で気づいた場合は、短時間(1分程度)でもサッと水にさらして表面のデンプンを洗い流すだけでも、くっつき防止には効果があります。もし、すでに変色してしまった場合でも、味や食感は多少変わりますが、そのまま調理して食べることは可能です。

じゃがいものあく抜きは何分水にさらすか、水にさらさないかより重要な事

じゃがいもの下ごしらえにおいて、あく抜きの時間を気にする以上に、「安全性」の観点から絶対に確認しなければならないことがあります。それは、じゃがいもの「色」です。特に皮や実が緑色になったじゃがいもには、深刻な健康リスクが潜んでいるため、細心の注意が必要です。

光で緑やうっすら黄緑になる理由

光で緑やうっすら黄緑になる理由

じゃがいもは、土の中で育つ「茎」の部分(塊茎)であり、本来は光に当たりません。しかし、収穫後であっても太陽光や蛍光灯などの「光」に当たると、植物としての本能が刺激され、光合成をしようとします。

その結果、皮や皮のすぐ下の部分に「葉緑素(クロロフィル)」が生成され、緑色(うっすら黄緑色も含む)に変色します。スーパーで購入したじゃがいもでも、家のキッチンの明るい場所に数日置いておくだけで、簡単に緑色になってしまうことがあります。

この緑色の変色は、単に見た目が悪いだけでなく、「天然の毒素も同時に増えています」という危険なサインでもあります。

ソラニンやチャコニンという有毒成分

じゃがいもが光に当たって緑色になる際、同時に「ソラニン」や「チャコニン」といった天然の毒素が生成され、蓄積されることが知られています。(出典:農林水産省「食品中の天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関する情報」)これらは、じゃがいもが元々持っている配糖アルカロイドという成分で、外敵から身を守るために持っているものです。

これらの毒素は、特に「芽」の部分と「緑色になった皮」に多く含まれます。通常の状態のじゃがいも(可食部)にも微量に含まれますが、緑色になった部分では、その濃度が数倍から数十倍に跳ね上がることがあります。

一定量以上を摂取すると、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、めまいなどの中毒症状を引き起こす可能性があり、国内でも学校菜園で収穫した未熟なじゃがいもなどによる食中毒事例が報告されています。 (出典:農林水産省「じゃがいもによる食中毒を予防するために」

加熱しても毒素は消えにくい

ソラニンやチャコニンは非常に熱に強く、通常の調理(茹でる、焼く、揚げる)では簡単には分解されません。(170℃以上での加熱で分解が始まるという報告もありますが、確実に安全なレベルまで減らすことは期待できません)。

したがって、「火を通せば大丈夫」というわけではなく、調理前の「取り除く」作業が唯一にして最大の防御策となります。

緑色の部分は皮を厚めにむく

緑色の部分は皮を厚めにむく

もし、じゃがいもの皮が緑色になっていたり、うっすらと黄緑色がかっていたりする場合は、あく抜き以前の問題として、その部分を完全に取り除く必要があります。「もったいない」と感じるかもしれませんが、健康を守るために徹底してください。

  • 芽: 芽が出ている場合は、その根元(周り)も含めて、包丁の根元や芽取り器で深くえぐるようにしっかりと取り除きます。
  • 緑色の皮: 緑色が見えなくなるまで、皮を厚めにむいてください。ピーラーで薄くむくだけでなく、包丁を使って実の部分も含めて削ぎ落とすイメージです。皮だけでなく、その下の実の部分まで緑色になっている場合も、その部分をしっかり取り除きます。

緑色になっている範囲が広い場合や、中まで緑がかっている場合は、安全のためにその個体は食べずに捨てるという判断も非常に重要です。

苦みを感じたら食べない

苦みを感じたら食べない

適切な処理をしたつもりでも、毒素が残っている場合があります。もし、調理したじゃがいも(特に皮ごと調理したもの)を食べてみて、「苦味」や「えぐみ」(舌がピリピリするような刺激)を強く感じた場合は、それが毒素のサインである可能性が非常に高いです。

苦味やえぐみを感じたら、それ以上食べるのをすぐに中止してください。 じゃがいもと一緒に調理した他の食材(肉や他の野菜)や、煮汁(スープ)にも毒素が溶け出している可能性があるため、料理全体を食べるのを控えるのが最も賢明な判断です。特に、体の小さいお子様や体調が万全でない方は、少量でも症状が出やすいため注意が必要です。

じゃがいもの正しい保存方法

じゃがいもの正しい保存方法

じゃがいもの毒素(ソラニン類)は、光に当たることで増えてしまいます。つまり、最も重要なのは「緑色にさせない」ための予防、すなわち正しい保存方法を実践することです。一度増えた毒素は減らせないため、購入した時点から保存に気を配りましょう。

じゃがいも保存の3大原則

  1. 光を遮断する(最重要)
  2. 冷暗所(10℃前後)で保存する
  3. 通気性を確保する

1. 光を遮断する(最重要)

太陽光はもちろん、キッチンの蛍光灯の光でもじゃがいもは緑化します。購入後はすぐに、新聞紙や紙袋(クラフト袋)で包み、光を完全にシャットアウトしてください。ダンボール箱に入れて蓋を閉めておくのも良い方法です。

2. 冷蔵庫は避けて冷暗所で

じゃがいもは寒すぎるところ(冷蔵庫のチルド室など約0℃に近い環境)で保存すると、デンプンが糖に変わってしまいます。これにより、揚げ物などにした際に焦げ付きやすくなることが報告されています。涼しくて温度変化の少ない、光の当たらない場所(パントリーや北向きの物入れ、床下収納など)が最適です。

3. 通気性を確保する

購入した際のビニール袋に入れたままだと、じゃがいもの呼吸によって湿気がこもり、腐敗や発芽の原因になります。必ず袋から出し、新聞紙で包んだ上で、カゴや網袋、穴を開けたダンボール箱など、通気性の良い容器に入れて保存しましょう。

一緒に保存する食材の注意点

玉ねぎは多くの水分を含むため、近くに置くとお互いの湿気で傷みやすくなると言われています。分けて保存するのが賢明です。 一方、りんごが放出する「エチレンガス」には、じゃがいもの発芽を抑制する効果があるとされています。じゃがいもを入れた箱や袋に、りんごを1〜2個一緒に入れておくと、芽が出にくくなるためおすすめです。

じゃがいものあく抜きは何分水にさらすか、水にさらさないかの総まとめ

じゃがいものあく抜き(水にさらすこと)は、料理の仕上がりを良くするための重要な下ごしらえですが、その「時間」や「要否」は目的によって異なります。最後に、この記事の要点をまとめます。

  • あく抜きの主な目的は「変色防止」と「デンプン除去」
  • 変色防止が目的なら「5分から10分」水にさらす
  • 炒め物や揚げ物をシャキッとさせたいなら「10分から15分」
  • フライドポテトはデンプンを落とすとカリッと仕上がる
  • 水にさらしすぎると栄養(ビタミンCなど)や風味が逃げる
  • ホクホク感を活かす煮物やコロッケは水にさらさない選択も可
  • カレーやシチューのとろみを出したい場合も省略してよい
  • 水にさらさない場合は変色を防ぐため「切ったらすぐ調理」する
  • あく抜きを忘れても(緑や芽がなければ)健康上の害はない
  • 忘れると変色したり食感がベチャッとしたりする
  • あく抜きより重要なのは「安全性」の確認
  • じゃがいもが緑色になるのは毒素(ソラニン)が増えるサイン
  • うっすら黄緑色でも皮を厚めにむき、緑の部分を完全に取り除く
  • 芽は根元からしっかりえぐり取る
  • ソラニンは加熱しても消えにくいため、事前の除去が必須
  • 食べて苦味やえぐみを感じたら、すぐに食べるのをやめる
  • 保存は光を遮断し、通気性を確保して冷暗所で行う
タイトルとURLをコピーしました