じゃがいもの前作・後作の相性の良い野菜・悪い野菜

じゃがいもの前作・後作の相性の良い野菜と連作障害対策 家庭菜園

家庭菜園でじゃがいもを育てた後、その跡地に次に何を植えるか悩んでいませんか?あるいは、これからじゃがいもを植えたいけれど、前作との相性が気になっているかもしれません。じゃがいも栽培で最も注意すべきなのが、連作障害です。

じゃがいもはナス科の野菜であり、同じ場所で作り続けるとそうか病などの病気や生育不良が非常に出やすくなります。これを防ぐには、計画的な輪作(りんさく)が欠かせません。

この記事では、じゃがいもの前作・後作としておすすめの野菜、例えば土壌を整えてくれる相性の良いネギや、逆に植え付けに注意が必要なサツマイモなど、具体的な組み合わせと成功のための土作りのポイントを、家庭菜園初心者の方にも分かりやすく詳しく解説します。

  • じゃがいもの連作障害を避ける具体的な方法がわかる
  • 前作・後作として相性の良い野菜と悪い野菜がわかる
  • じゃがいも栽培に適した土作りと肥料のコツがわかる
  • 実践的な輪作ローテーションの計画が立てられる

h2>じゃがいもの前作の基本と考え方

じゃがいもを元気に、そして美味しく育てるためには、植え付け前の畑(土壌)の状態が非常に重要です。じゃがいもは比較的デリケートな野菜であり、土壌環境が適していないと思うように育ちません。

ここでは、連作障害を避けるための基本的な考え方や、前作として相性の良い野菜、そして成功の鍵を握る土作りのポイントについて、深く掘り下げて解説します。

連作障害の原因と対策

じゃがいも栽培において、最大の失敗原因とも言えるのが「連作障害」です。これは、同じ場所で同じ科の野菜を続けて栽培することで発生する、深刻な生育不良の総称を指します。

じゃがいもはナス科の野菜です。このナス科には、家庭菜園でおなじみのトマト、ナス、ピーマン、シシトウ、トウガラシといった多くの人気野菜が含まれます。

これらを同じ場所で続けて栽培してしまうと、土壌中の特定の病原菌(そうか病青枯病(参考:北海道立総合研究機構:ばれいしょの青枯病)の原因菌など)や害虫(ジャガイモシストセンチュウなど)の密度が異常に高まります。

特にジャガイモシストセンチュウは一度発生すると根絶が非常に困難なため、農林水産省も注意喚起を行っている重要な害虫です。(参考:農林水産省:ジャガイモシストセンチュウの解説

また、病害虫だけでなく、土の中の特定の養分だけが過剰に消費され、逆に特定の成分が蓄積することで、土壌の栄養バランスが大きく崩れることも連作障害の大きな原因となります。

対策の基本は「輪作(りんさく)」です。 最も効果的かつ基本的な対策は、ナス科の野菜を同じ場所で栽培する間隔をあけること、すなわち「輪作」を徹底することです。病原菌や害虫の卵は土の中で数年間も生き残ることがあるため、一度問題が発生してしまうと、その畑を健康な状態に戻すには長い時間と労力が必要になってしまいます。

輪作年数の目安と理由

輪作年数の目安と理由

じゃがいもを含むナス科の野菜を栽培する場合、輪作(栽培間隔)の年数は最低でも3〜4年はあけることが、専門家の間でも強く推奨されています。

この「3〜4年あける」とは、今年ナス科を植えたら、その後3〜4年間はナス科以外の野菜(例:アブラナ科、マメ科、ウリ科など)を育て、ナス科が再びその場所に戻ってくるのは5年目以降、という意味です。

「1年おき」や「2年おき」では、土壌中の病原菌や害虫の密度を十分に下げることはできません。むしろ、病原菌が減りきる前に再び宿主となるナス科野菜が植えられることで、かえって被害が拡大する恐れもあります。

家庭菜園などで畑が限られている場合は、畑全体を4つの区画に分けて、毎年ローテーションを組むのが、理想的なモデルの一つです。これにより、どの区画も4年に一度しかナス科が回ってこないサイクルを作ることができます。

4年輪作のローテーションモデル例
区画 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
A区画 ナス科 (じゃがいも等) マメ科 (エダマメ等) アブラナ科 (ハクサイ等) ウリ科/ネギ科 ナス科 (ローテーション完了)
B区画 マメ科 アブラナ科 ウリ科/ネギ科 ナス科 マメ科
C区画 アブラナ科 ウリ科/ネギ科 ナス科 マメ科 アブラナ科
D区画 ウリ科/ネギ科 ナス科 マメ科 アブラナ科 ウリ科/ネギ科

前作におすすめの野菜一覧

前作におすすめの野菜一覧

じゃがいもを植える前(前作)には、土壌を整え、じゃがいもの生育に良い影響を与えてくれる野菜を選ぶのが理想です。特におすすめなのは「マメ科」「ネギ科」「アブラナ科(一部)」の野菜です。これらはじゃがいもの生育を助け、病害リスクを低減する効果が期待できます。

マメ科(エダマメ、インゲン、ソラマメ、ラッカセイなど)

マメ科の野菜は、その根に「根粒菌(こんりゅうきん)」という微生物を共生させています。この根粒菌は、空気中の窒素を取り込んで土壌に固定するという、非常に有益な働きを持っています。その結果、土が肥沃になり(緑肥効果)(参考:農研機構:緑肥利用マニュアル、じゃがいもの初期生育に必要な養分を天然の形で補給してくれます。

ネギ科(ネギ、タマネギ、ニラ、ニンニクなど)

ネギ類の根に共生する特定の微生物(拮抗菌)が、土壌中の病原菌(特にカビ類)の活動を抑える、いわゆる「土壌消毒」のような効果が期待できると言われています。これにより、じゃがいもがかかりやすい土壌病害のリスクを軽減できる可能性があります。

アブラナ科(ダイコン、ハクサイ、カブなど)

特にダイコンのように根を地中深くまでまっすぐ張る野菜は、収穫することで土が深く耕された状態になります。その結果、土がふかふかになり、土壌の物理性(通気性や排水性)が改善されます。これは、じゃがいもが地中でイモを大きく太らせるために非常に良い環境です。

前作で避けたい野菜と理由

前作で避けたい野菜と理由

じゃがいもの前作として、絶対に避けなければならないのは、言うまでもなく「ナス科」の野菜です。これは連作障害を引き起こす最も典型的で、最も深刻な失敗例となります。

【厳禁】ナス科の野菜

トマト、ナス、ピーマン、シシトウ、トウガラシ、ペチュニア(花)などは、じゃがいもと全く同じナス科の仲間です。これらの野菜を育てた直後の畑にじゃがいもを植えることは、蓄積された病原菌や害虫の格好の餌食となるため、深刻な連作障害を引き起こします。絶対に避けてください。

また、アブラナ科の中でもキャベツなどは、じゃがいもとお互いの生育を阻害しあう「相性が悪い」組み合わせ(混作・間作)とされることがあります。前作として絶対にダメというわけではありませんが、お互いの養分を奪い合う可能性も指摘されているため、積極的に選ぶよりは、前述のマメ科やネギ科を優先するのが無難です。

前作後作における土づくりの基本

前作後作における土づくりの基本

じゃがいも栽培の成功は、植え付け前の土作りで8割が決まると言っても過言ではありません。前作の野菜を収穫した後、じゃがいもが好む土壌環境をいかに整えるかが重要です。

じゃがいもは、通気性・排水性・保水性に優れた、いわゆる「ふかふか」の土を好みます。イモが地中でスムーズに大きくなるためには、粘土質でカチカチの土壌は適しません。前作の収穫が終わったら、まずは根や葉などの残渣(ざんさ)をできるだけ取り除き、畑をきれいにします。

その後、植え付けの2〜3週間前までに、完熟堆肥(牛ふん堆肥やバーク堆肥など)や腐葉土を1平方メートルあたり2〜3kg程度投入し、深く(30cm程度)耕しておきましょう。

【重要】じゃがいもと石灰(pH)の関係

多くの野菜は中性〜弱アルカリ性の土を好むため、土作りの際に苦土石灰などをまいて酸度を調整(中和)します。しかし、じゃがいもは大きな例外です。

土壌がアルカリ性に傾くと、そうか病の原因となる放線菌の活動が活発になり「そうか病」が非常に発生しやすくなります。(参考:全農:ジャガイモのそうか病に注意)この病気はイモの表面がカサブタのようにザラザラになり、商品価値を著しく損ねます。

じゃがいもを植える畑では、前作で石灰を施した場合は追加の施用は基本的には行わないか、施すとしてもごく少量にし、弱酸性(pH 5.0〜6.0程度)を保つのが病気を防ぐ最大のコツです。

前作・後作に適した肥料管理のコツ

前作後作に適した肥料管理のコツ

じゃがいもは比較的多くの肥料を必要とする「多肥性」の野菜ですが、与え方、特に窒素(N)成分の過剰には細心の注意が必要です。

前作の肥料が土に多く残りすぎている場合や、元肥として窒素肥料を与えすぎると、葉や茎ばかりが過剰に茂り、肝心のイモが大きくならない「つるボケ」という状態を招きます。(参考:全農:昨年サツマイモを植えましたが、コロコロ小さなイモばかりできてしまいました)特に前作がマメ科のように土に窒素を残す野菜だった場合は、元肥の窒素分を通常より控えるといった調整が大切です。

肥料の施し方(施肥)

元肥(植え付け時に施す肥料)は、種イモの真下に直接触れると傷む(肥料焼け)可能性があるため、種イモの数cm横や下に「層」になるように施す「層状施肥」などが推奨されます。じゃがいも専用の化成肥料などを使うと、リン酸やカリとのバランスが取れているため便利です。

追肥(生育の途中で与える肥料)は、生育の様子を見ながら通常2回に分けて行います。1回目は「芽かき」の後、2回目は「つぼみ」が見え始めた頃がタイミングの目安です。肥料は株元ではなく、畝(うね)の肩の部分(株から少し離れた場所)に施し、その後の「土寄せ」と同時に行うと、肥料が効率よく吸収され、イモの肥大を助けます。

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じゃがいもの後作の実践とおすすめ作物

じゃがいもを無事に収穫した後の畑(跡地)をどう活用するかも、輪作における重要なポイントです。じゃがいもが残した土壌環境は、次の野菜にとってプラスにもマイナスにも働きます。連作障害のリスクをリセットし、次の野菜を成功させるための、後作の選び方と実践的なテクニックを紹介します。

後作におすすめの葉物野菜

後作におすすめの葉物野菜

じゃがいもの後作として、最もセオリー(定石)とされているのが「葉物野菜(葉菜類)」です。

野菜の輪作には「根(イモ類)→葉(葉菜類)→実(果菜類)」という基本的な順番があり、これは土壌から吸収する養分の種類や量が異なるため、土壌養分のバランスを取るのに有効とされています。じゃがいも(地下茎ですが根菜類として扱います)の後には、葉物野菜を植えるのが適しています。

春じゃがいも(5月〜6月収穫)の後であれば、夏から秋にかけて栽培できる以下の野菜が後作の候補となります。

  • アブラナ科:コマツナ、チンゲンサイ、ミズナ、キャベツ(秋どり)、ブロッコリー(秋どり)、ハクサイ(秋どり)
  • ヒユ科:ほうれん草(秋まき)
  • キク科:レタス、シュンギク

これらは栽培期間が比較的短いものも多く、畑のスペースを効率よく回転させられます。ただし、ほうれん草などは酸性土壌を嫌います。前述の通り、じゃがいもは弱酸性を好むため、ほうれん草などを植える場合は、苦土石灰をまいて土壌の酸度を調整(中和)してから植える必要があります。

後作に適したマメ科の利用法

後作に適したマメ科の利用法

マメ科の野菜は、じゃがいもの前作として優秀なだけでなく、後作としても非常に優秀な働きをします。

前述の通り、マメ科の根粒菌が土壌に窒素を供給してくれるため、じゃがいも栽培で消費された養分を補い、土壌の地力を回復させる「緑肥(りょくひ)」としての役割を果たします。じゃがいもが消費した養分を補給し、土壌を再び豊かにしてくれるのです。

春じゃがいもの後作としては、エダマメインゲンが栽培時期(夏まき)としてぴったりです。これらを後作として育てることで土が肥沃になり、さらにその次に植える野菜(例:秋冬のアブラナ科野菜)の生育も良くなるという、畑にとって理想的な好循環が期待できます。

マメ科野菜の収穫が終わった後、根は無理に引き抜かず、そのまま土にすき込む(土と一緒に耕す)と、根粒菌や残渣が土壌微生物のエサとなり分解され、より緑肥としての効果が高まります。

後作で避けたいナス科の野菜

後作で避けたいナス科の野菜

じゃがいもの後作として、「ナス科」の野菜は絶対に植えてはいけません。これは前作の場合と同様、厳禁です。

理由はシンプルで、連作障害のリスクを最大化させてしまうためです。じゃがいもを収穫した直後の土壌には、目に見えなくても、ナス科に共通する病原菌(そうか病菌、青枯病菌など)が潜んでいる可能性が非常に高い状態です。

【厳禁】後作にNGなナス科の野菜

春じゃがいもを収穫した後(6月頃)、ちょうど夏野菜の植え付けシーズン終盤だからといって、その跡地にトマト、ナス、ピーマン、シシトウなどの苗を植えるのは、最も避けるべき最悪のローテーションです。病害虫の被害に遭う可能性が極めて高くなります。

後作サツマイモが注意すべき理由

後作サツマイモが注意すべき理由

「イモの後にイモはどうか?」と考える方もいるかもしれませんが、じゃがいもの後作にサツマイモを植えるのは、注意が必要です。

サツマイモ(ヒルガオ科)は、じゃがいも(ナス科)とは科が異なるため、連作障害の直接的な原因にはなりにくいです。両者で共通する深刻な病害虫も少ないとされています。しかし、問題となるのは「肥料バランス」です。

じゃがいも栽培のために施した肥料、特に窒素(N)成分が土壌に多く残っていると、サツマイモは栄養を吸収しすぎてしまいます。サツマイモは本来、痩せた土地でも育つ丈夫な野菜です。栄養(特に窒素)が多すぎると、その結果、葉やツルばかりが過剰に茂り、肝心のイモが大きくならない「つるボケ」という現象を起こしやすくなるのです。

もし後作でサツマイモに挑戦する場合は、あえて肥料を一切施さない「無肥料栽培」にするか、窒素分をほとんど含まないリン酸・カリ中心の肥料を使うなどの工夫が求められます。じゃがいも跡地の肥料分をリセットする、という意味では相性が良いとも言えますが、上級者向けの組み合わせかもしれません。

後作に有効なネギ類の効果

後作に有効なネギ類の効果

ネギ類(ネギ、タマネギ、ニラ、ニンニクなど)は、じゃがいもの後作として最も推奨される野菜の一つです。

ネギ類の根には特有の微生物が共生しており、これらが土壌中の病原菌(特にカビの仲間であるフザリウム菌など)の活動を抑える働きがある(拮抗作用)とされています。いわば「土のお掃除役(クリーニングクロップ)」(参考:農林水産省:緑肥として、土壌環境をリセット(消毒)する効果が期待できるのです。

春じゃがいも(5月〜6月収穫)の跡地に、秋植えのタマネギ(9月〜10月植え付け)や秋冬ネギを栽培するのは、病害リスクの低減と畑の有効活用の両面から、非常に合理的で相性の良いローテーションと言えます。ネギ類は収穫までの期間が長いものが多いですが、その分、じっくりと土壌環境を改善してくれる効果が期待できます。

前作後作のまとめと実践ポイント

じゃがいもの前作・後作を成功させるには、計画的な輪作と、それぞれの野菜の特性に合わせた土壌管理が不可欠です。最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。

  • じゃがいも栽培の成功は前作と後作の計画で決まる
  • 最大の敵は連作障害である
  • じゃがいもはナス科の野菜と認識する
  • トマトやナス、ピーマンは同じナス科の仲間
  • 輪作年数は最低でも3年から4年あける
  • そうか病対策には土壌の酸度管理が重要
  • 石灰の使いすぎはアルカリ性に傾きNG
  • 前作にはマメ科(エダマメ、インゲン)が最適
  • マメ科は土壌に窒素を供給する緑肥効果がある
  • 前作にネギ類も土壌病害予防におすすめ
  • 後作には葉物野菜(コマツナ、ハクサイなど)が基本
  • 後作のマメ科も土壌回復に有効
  • 後作のネギ類は土壌をリセットする効果が期待できる
  • 後作にサツマイモを植えると「つるボケ」のリスクがある
  • じゃがいもの前作・後作にナス科は絶対に避ける
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