家庭菜園で大切に育てているじゃがいもの様子が、最近おかしいと感じていませんか?「順調に青々と育っていたはずなのに、急に葉が枯れてしまった」「見たことのない斑点が出ている」といった異変に気づくと、収穫までたどり着けるのか、あるいは周囲の野菜に伝染しないか、大きな不安を感じてしまうものです。
じゃがいもの葉に現れる異変は、収穫時期が近づいたことによる正常な生理現象(老化)の場合もあれば、放置すると畑全体を全滅させてしまう危険な病気のサインであることも少なくありません。
特に、アブラムシなどの害虫がウイルスを媒介して起こる「モザイク病」などは、正しい知識を持って早期に対処しなければ、取り返しのつかない被害につながる恐れがあります。
この記事では、葉の「色」や「形」の症状から原因を見極めるための具体的な判断ポイントと、それぞれの状況に応じた適切な対処法を分かりやすく解説します。初心者の方でも迷わず判断できるよう、症状別の特徴を網羅していますので、ぜひ目の前のじゃがいもと照らし合わせながら読み進めてください。
じゃがいもの病気で葉っぱに出る症状
じゃがいもの葉に現れる症状は、病気の種類によって明確な特徴があります。まずは、現在の葉の状態をよく観察し、どのパターンに当てはまるかを冷静に確認しましょう。早期発見こそが、被害を最小限に抑えるための最大の鍵となります。
| 葉の症状 | 疑われる原因 | 緊急度 |
|---|---|---|
| 全体が黄色くなる(下葉から) | 生理現象(老化) マグネシウム欠乏 | 低(収穫サインの可能性) |
| 黒い同心円状の斑点 | 夏疫病 | 中(拡大前に除去) |
| 暗褐色のシミ・葉裏に白カビ | 疫病 | 高(蔓延注意) |
| 縮れる・モザイク模様 | モザイク病 | 高(即抜き取り) |
| 青いまま急にしおれる | 青枯病 | 高(土壌汚染注意) |
葉が黄色くなる主な原因

葉が黄色く変色する場合、それが病気によるものなのか、それとも自然な老化現象なのかを見極めることが最も重要です。
一般的に、植え付けから90日から100日ほど経過し(早生・晩生などの品種により異なります)、下の方の葉から徐々に黄色くなり、やがて茎や葉全体が枯れていく現象は「黄変(こうへん)」と呼ばれ、正常な生育プロセスです。これはイモが十分に成熟し、収穫時期が近づいている嬉しいサインですので、心配する必要はありません。
【正常な枯れ(収穫サイン)の特徴】
- 植え付けから3ヶ月以上経過している。
- 葉だけでなく、茎も黄色くなり倒れてくる。
- 花が終わり、実(イモ)が肥大している時期である。
一方で、まだ花が咲く前や生育初期であるにもかかわらず葉が黄色くなる場合は、注意が必要です。窒素やマグネシウムなどの栄養不足、あるいは土壌の酸度が不適切で栄養が吸収できない可能性もありますが、病気の初期症状であるケースも考えられます。例えば、「ジャガイモ半身萎凋病(はんしんいちょうびょう)」などは、株の片側や下葉から黄色くなり、やがて枯死に至る病気です。
葉に斑点が出る病気とは

葉の表面に黒や茶色の斑点が見られる場合、カビ(糸状菌)が原因の病気を疑う必要があります。中でも代表的なものが「夏疫病(なつえきびょう)」です。
この病気にかかると、葉に「同心円状」、つまり的(マト)のような何重もの輪の模様がある黒褐色の斑点が現れるのが大きな特徴です。最初は小さな褐色の点ですが、徐々に拡大していき、症状が進むと葉全体が黄色くなって枯れ落ちてしまいます。
夏疫病は、名前の通り少し気温が高く、乾燥した時期に発生しやすい傾向があります。疫病に比べると進行は緩やかですが、放置すると光合成能力が落ちてイモが太らなくなるため、見つけ次第、病斑のある葉を取り除くことが大切です。
葉の裏に白いカビが出たら

葉の表面に水が滲んだようなぼんやりとした暗緑色のシミ(病斑)ができ、その葉を裏返して確認すると、周囲に白い霜のようなカビが生えていることがあります。これはじゃがいもの病気の中で最も恐ろしいとされる「疫病(えきびょう)」の典型的な症状です。
疫病は冷涼で湿気が多い環境を非常に好みます。そのため、梅雨の時期や秋の長雨のシーズンには爆発的に広がる危険性があります。
この病気の最大の特徴は、進行スピードの速さです。適切な処置をしないと、わずか数日のうちに畑の株全体が黒く腐ったようになり、独特の腐敗臭を放って枯れてしまいます。葉の裏に見える白いカビは「胞子」の塊であり、これが風や雨水に乗って周囲の健康な株にも次々と感染を広げていきます。
農林水産省のガイドラインでも、疫病の発生予察や早期防除の重要性が度々注意喚起されています。(出典:農林水産省:病害虫の防除に関する情報)
葉が縮れる・モザイク状になる

葉の色が濃い緑と薄い緑のまだら模様(モザイク状)になったり、葉全体が縮れて小さくなったり、縁が波打ったりしている場合は、ウイルス性の病気が強く疑われます。これらは総称して「モザイク病」と呼ばれています。
モザイク病に感染すると、葉が変形して正常に開かなくなるため、光合成がうまくできなくなります。その結果、草丈が伸びず、土の中のイモも肥大不良を起こして極端に小さくなってしまいます。
ウイルス病には特有の奇形を伴うことが多く、葉がスプーンのように上へ丸まる「葉巻病(はまきびょう)」なども同様のウイルス病の一種です。最大の問題点は、一度ウイルスに感染した株は、どのような薬剤を使っても治療して元の姿に戻すことができないという点です。
非常に厄介な病気であるため、発生させないための予防が全てと言っても過言ではありません。
葉が青いまましおれる青枯病

通常、植物が枯れるときは葉が黄色や茶色に変色しますが、葉が青々とした緑色の状態のまま、急激にクタッとしおれてしまうのが「青枯病(あおがれびょう)」です。
この病気の特徴的な進行パターンとして、日中の気温が高い時間帯に激しくしおれ、夜間や涼しい朝方には一時的にシャキッと回復したように見えることが挙げられます。しかし、これを数回繰り返した後、最終的には回復しなくなり、株全体が枯れてしまいます。
原因は土壌の中に潜む細菌(バクテリア)で、根の傷口などから侵入し、茎の中の水分が通る管(道管)を詰まらせてしまうために起こります。水が吸い上げられなくなるため、人間で言う脱水症状のような状態になり、青いまま枯れてしまうのです。高温多湿の時期に発生しやすく、土壌伝染するため、同じ場所でナス科野菜を連作している場合は特に警戒が必要です。
じゃがいもの病気と葉っぱの対策法
葉が枯れる疫病の予防

湿気を好む疫病を防ぐためには、畑の環境作りが何よりも重要です。畝(うね)を高くして水はけを良くし、株と株の間隔を十分に空けて風通しを確保しましょう。これにより、葉が濡れている時間を短くし、カビの繁殖を抑える効果が期待できます。
また、雨による泥はねが葉に付着することで土壌中の菌が感染することが多いため、ビニールマルチや敷き藁を利用して土の跳ね返りを防ぐのも非常に有効です。
もし発症してしまい、葉が枯れる症状が一部に留まっている場合は、その部分を速やかに取り除き、必要に応じて家庭園芸用の殺菌剤(TPN水和剤など)を散布して拡大を防ぎます。
じゃがいもモザイク病の対策

前述の通り、ウイルスが原因であるモザイク病には、残念ながら治療薬が存在しません。そのため、発症した株を見つけた場合の唯一にして最大の対策は、「抜き取り」です。
【重要:感染株の処理方法】
発症株を見つけたら、「もったいない」と思わず、直ちに株ごと引き抜いてください。
- イモが小さくても、すべて掘り上げてください。
- 抜いた株は畑の隅に放置せず、ビニール袋に入れて密封し、燃えるゴミとして処分するか焼却してください。
- コンポストや堆肥には絶対に混ぜないでください(ウイルスが残存する可能性があります)。
感染した株を畑に残しておくと、そこが伝染源(ウイルスの貯蔵庫)となり、アブラムシを介して周囲の健康な他の株まで全滅してしまうリスクがあります。心を鬼にして撤去することが、結果として他のじゃがいもを守ることにつながります。
無病種イモを選ぶ重要性

多くの病気、特にウイルス病やそうか病などは、種イモの段階ですでに感染していることがあります。そのため、スーパーで食用として売られているジャガイモを種イモとして使うことは極力避けましょう。食用の芋は、栽培用としての病気検査を経ていないため、見えないウイルスを持っている可能性があります。
ホームセンターや種苗店で販売されている種イモには、「植物防疫所」の厳しい検査に合格したことを証明する「検査合格証票(合格シール)」が貼付されています。これを選ぶことで、最初から病気のリスクを大幅に減らした状態で栽培をスタートできます。安全な種イモを使うことは、無農薬栽培への近道でもあります。(出典:植物防疫所:種馬鈴しょ検疫実施要領)
アブラムシなど害虫の防除

モザイク病などのウイルスを運んでくる主な原因は、アブラムシです。この小さな害虫が感染した株の汁を吸い、その口針で健康な株の汁を吸う際にウイルスを媒介してしまいます。
そのため、アブラムシを寄せ付けないことが病気予防に直結します。アブラムシはキラキラした反射光を嫌う習性があるため、植え付け時にシルバーマルチを使用したり、シルバーテープを支柱に吊るしたりすると、飛来を減らす効果が期待できます。
また、葉の裏などをこまめにチェックし、見つけ次第粘着テープで取り除いたり、アブラムシに効果のある薬剤(オルトラン粒剤など)を使用したりして徹底的に駆除しましょう。(参考:農林水産省:住宅地等における農薬使用について)
風通しと水はけの改善

多くの病原菌は、ジメジメした多湿環境を好みます。土壌の水はけが悪いと、根が呼吸できずに弱り、病気に対する抵抗力も落ちてしまいます。
栽培を始める前の土作りの段階で、腐葉土や堆肥をしっかりと混ぜ込み、団粒構造のあるふかふかの土を目指しましょう。水はけが悪い畑では、畝を高く(高畝)することで排水性を高めることができます。
プランター栽培の場合も、鉢底石をしっかり入れ、水がスムーズに抜けるようにします。また、株間を詰めすぎない「密植」を避け、太陽の光と風が株元まで届くようにすることで、土の表面が乾きやすくなり、疫病の予防につながります。
じゃがいもの病気と葉っぱの観察

美味しいじゃがいもを収穫するためには、日々の観察が欠かせません。「じゃがいも 病気 葉っぱ」と検索してこの記事にたどり着いた方であれば、すでにその重要性に気づいているはずです。葉の色ツヤ、縮れがないか、斑点が出ていないかなど、毎日見ることで、小さな変化にいち早く気づくことができます。
早期発見ができれば、被害を最小限に食い止めることが可能です。たとえ病気にかかったとしても、適切な処置(葉の除去や株の抜き取り)を迅速に行えば、残りの健康な株を守り、収穫の喜びを味わうことができるでしょう。毎日の水やりや見回りの際に、ぜひ「葉っぱの裏」までチェックする習慣をつけてみてください。
よくある質問:じゃがいもの葉と病気に関するQ&A
- Q. 病気にかかった株のジャガイモは食べられますか?
- A. 基本的には、イモ自体に腐敗や変色がなければ食べても問題ありません。 ただし、疫病などでイモの内部に茶色い輪(褐変)ができている場合は、その部分を大きく取り除く必要があります。また、モザイク病で成長不良になり、極端に小さいイモ(未熟芋)には、食中毒の原因となるソラニン類が多く含まれている可能性があるため、食べるのは避けたほうが無難です。(参考:農林水産省:ジャガイモによる食中毒を予防するために)
- Q. 病気が出た後の土で、また野菜を育てても大丈夫ですか?
- A. すぐに同じ「ナス科」の野菜(トマト、ナス、ピーマンなど)を植えるのは避けてください。
青枯病やそうか病の菌は土の中に長く残ります。冬の間に土を掘り返して寒さに当てる「寒おこし」や、透明マルチを使った「太陽熱消毒」を行い、次はマメ科やイネ科など、科の異なる野菜を植える「輪作(りんさく)」を行うことで、土壌環境をリセットすることをおすすめします。 - Q. 葉っぱに穴がたくさん空いているのは病気ですか?
- A. 葉に不規則な穴が空いている場合は、病気ではなく害虫の仕業である可能性が高いです。
特によく見られるのが「ニジュウヤホシテントウ(テントウムシダマシ)」です。葉の裏を確認し、イガ栗のような幼虫や成虫がいれば捕殺するか、防虫ネットなどで対策をしましょう。病気と違い、虫を取り除けば株は復活することが多いです。
じゃがいもの病気は葉っぱで早期発見!まとめ
最後に改めて、重要なポイントを整理します。
- 下葉から黄色くなるのは生理現象:収穫時期が近いサインなので、心配せず収穫の準備を進めましょう。
- モザイク模様や縮れはウイルス病:治療法がないため、畑全体を守るために「即抜き取り」が必要です。
- 黒い斑点や白カビはSOS:疫病や夏疫病の可能性があります。カビが原因なので、早期発見できれば薬剤や葉の除去で拡大を防げます。
- 種イモ選びと土作りが予防の要:検査合格証票のある種イモを使い、水はけの良い環境を整えることで、リスクを大幅に減らせます。
「じゃがいも 病気 葉っぱ」と検索して不安を感じていた方も、今の症状がどれに当てはまるか判断できたでしょうか。野菜づくりにおいて、葉っぱは健康状態を映し出すバロメーターです。
たとえ病気が出てしまったとしても、正しい知識を持って対処すれば、被害を最小限に抑えることができます。毎日の観察を楽しみながら、ホクホクの美味しいじゃがいもがたくさん収穫できることを願っています。

