じゃがいもの中が赤い・ピンク・紫の部分、芽が赤いのは食べられる?

じゃがいもの「中が赤い・ピンク・芽が赤い・紫の部分」の原因と安全性 食材

カレーや肉じゃがを作ろうとじゃがいもを切ったとき、中が赤い、あるいはピンク色の斑点だらけで驚いたことはありませんか?また、紫の部分があって戸惑ったり、芽が赤いけれど緑色じゃないから大丈夫なのかと不安に思ったりすることもあるでしょう。

家庭料理で頻繁に使うじゃがいもだからこそ、見慣れない色がついていると「これは毒(ソラニン)ではないか?」「腐っているのでは?」と、食べるのが一気に不安になります。

この記事では、じゃがいもに見られる赤、ピンク、紫の色や、赤い芽の正体について、科学的な根拠に基づき、原因と安全性を詳しく解説します。結論を先に言えば、これらの色の多くは心配無用ですが、「芽」には色に関わらず注意が必要です。

  • じゃがいもの中が赤・ピンク・紫になる原因
  • それらの色に毒性や腐敗の心配はないか
  • 芽が赤い場合の正しい対処法
  • 色付きじゃがいもの美味しい調理法

こちらの記事も読まれています

じゃがいもの中が赤い・ピンク、紫の部分の原因

じゃがいもの断面に見られる赤、ピンク、または紫の色は、多くの場合、食べる上で心配のないものです。これらの現象は、大きく分けて2つの主要な原因に分類されます。

ひとつはじゃがいも自体が持つ「品種」の特性、もうひとつは育った環境に起因する「生理障害」です。これから、それぞれの原因について詳しく掘り下げていきます。

中が赤い・ピンクになる理由

中が赤い・ピンクになる理由

じゃがいもの中が赤色やピンク色になる主な理由は、前述の通り2パターンあります。

ひとつは、「品種」そのものが持つ色素によるものです。近年は品種改良が進み、中身自体がカラフルなじゃがいもが市場に出回るようになりました。

もうひとつは、生育中の天候不順(高温や乾燥、急な温度変化など)が原因で起こる「生理障害」と呼ばれる現象です。これはじゃがいもの「体調不良」のようなもので、病気やカビとは異なります。どちらのケースも、これから解説する有毒な「緑色」とは全く別のものであり、多くの場合、毒性はありません。

紫の部分は品種(アントシアニン)

紫の部分は品種(アントシアニン)

じゃがいもの中に鮮やかな紫色の部分がある場合、その原因のほとんどは「品種」です。色の正体は、「アントシアニン」というポリフェノールの一種。これはブルーベリー、ナス、赤ワインなどにも含まれる、植物由来の天然の色素成分です。

そのため、紫色の部分があっても、それは品種固有の特性であり、カビや異常ではありません。安全性に全く問題はなく、むしろ栄養素として摂取することができます。

アントシアニンは栄養素の一種です

アントシアニンは、植物が紫外線などの外的ストレスから身を守るために生成する抗酸化物質のひとつです。食品に含まれる機能性成分(ファイトケミカル)として知られており、健康維持に役立つ栄養素として注目されています。

ノーザンルビーやシャドークイーン

ノーザンルビーやシャドークイーン

近年、スーパーの野菜売り場でも中身に色がついたじゃがいもを見かけるようになりました。 代表的な品種として、中が鮮やかなピンク色(赤色)の「ノーザンルビー」や、中が濃い紫色の「シャドークイーン」があります。

これらは、もともとアントシアニン色素を豊富に含んでおり、その美しい色合いを活かして、カラフルなポテトサラダやポタージュ、お菓子の素材としてプロの料理人からも人気があります。もし購入したじゃがいもがこれらの品種であれば、その色は「当たり」の証拠です。

色付き品種の安全性

色付き品種の安全性

ノーザンルビーやシャドークイーンのように、品種特性として中が赤色や紫色をしているじゃがいもは、全く問題なく、安全に食べられます。

これらの色は、前述の通り栄養素であるアントシアニンによるものです。見慣れない色に驚くかもしれませんが、じゃがいもの芽に含まれる「ソラニン」などの毒素とは全くの別物です。むしろ、その色素こそが品種の「売り」であり、価値となっています。安心して調理にお使いください。

加熱による色の変化

アントシアニン色素には、調理の際に知っておくと便利な特性が2つあります。

第一に、水に溶けやすい「水溶性」である点です。そのため、ノーザンルビーなどの色付き品種を長時間茹でると、色素がお湯に溶け出して色が薄くなってしまうことがあります。

第二に、酸性やアルカリ性で色が変わる点です。アントシアニンは、酢やレモン汁などの酸性のものを加えると赤みが鮮やかになり、こんにゃくの灰汁(あく)などのアルカリ性に触れると青っぽく変色する性質があります。

環境ストレスによるシミ(生理障害)

環境ストレスによるシミ(生理障害)

色付き品種ではない一般的なじゃがいも(男爵薯やメークインなど)を切った際に、中心部や断面にピンク色、赤褐色、または褐色の「シミ」のような斑点が見られることがあります。

これは「内部褐色斑点」や「中心褐色斑点」と呼ばれるもので、病気やカビ、虫害ではありません。主な原因は、じゃがいもが畑で育つ際の環境ストレス(生育期の高温・乾燥、水分不足、急激な温度変化など)と考えられています。これは人間のアザのようなもので、じゃがいもの生理現象の一種です。

保存ストレスによる変色

じゃがいもの中がピンクや赤褐色になる原因として、「低温障害(ていおんしょうがい)」が挙げられます。これは、収穫後の「保存」が原因で起こる現象です。

具体的には、じゃがいもを2℃以下のような寒すぎる環境(例えば、冷蔵庫のチルド室や冷気の吹き出し口付近)で長期間保存すると、細胞が損傷を受けて変色することがあります。これも生理障害の一種であり、斑点自体にソラニンのような毒性はありません。

ただし、低温障害には「変色」とは別に、注意すべき「本当の問題点」があります。

低温障害の「本当の問題点」:糖化と有害物質

じゃがいもを低温で保存すると、デンプンが糖に変わる「糖化(とうか)」という現象が起こります。これには2つの大きなデメリットがあります。

  • 味への影響:じゃがいも本来の風味が失われ、異常に甘く感じることがあります。
  • 調理への影響:この糖化したじゃがいもを揚げ物(フライドポテトやポテトチップス)にすると、糖が高温で焦げ、黒っぽくなりやすいです。

この焦げた部分には、「アクリルアミド」という有害性が指摘される化学物質が通常よりも多く生成されやすくなることが知られています。そのため、農林水産省もじゃがいもの冷蔵保存を推奨していません。
(参考:農林水産省:食品中のアクリルアミドに関する情報

もし低温障害が疑われる場合は、斑点自体に毒はありませんが、揚げ物での調理は避けた方が賢明です。

中心褐色斑点の毒性

中心褐色斑点の毒性

環境ストレスによって発生する「中心褐色斑点」や「内部褐色斑点」には、毒性はありません。そのため、もし切ったじゃがいもにピンクや褐色のシミがあっても、食べること自体に健康上の問題はありません。

ただし、その部分は組織が変質しているため、見た目が悪いだけでなく、食感が少し硬くなっていたり、風味が落ちていたりする場合があります。気になるようであれば、そのシミの部分だけをスプーンや包丁で軽く取り除けば、残りの部分は通常通りおいしく食べられます。

赤・ピンク・紫と「腐敗」の見分け方

「毒性はない」とされても、「腐っているのでは?」という不安が残るかもしれません。しかし、色と腐敗は別問題です。赤やピンクの色があっても、それ自体は腐敗のサインではありません。

本当に注意すべき「腐敗」のサインは、色ではなく「臭い」や「感触」に現れます。見慣れない色であっても、慌てて捨てる前に以下の点をチェックしてください。

本当に危険な「腐敗」の主なサイン

  • 異臭:カビ臭い、すっぱい臭い、アンモニア臭など、じゃがいも本来の土の香りとは異なる不快な臭いがする。
  • ぬめり:表面や切り口がネバネバと糸を引くようにぬめっている。水分が染み出ている。
  • 感触:部分的にぶよぶよと異常に柔らかくなっている、または水分が抜けてスカスカになっている。

切ったじゃがいもが赤やピンクでも、上記のような腐敗のサインがなければ、品種や生理障害によるものと判断できます。もし腐敗のサインが見られた場合は、そのじゃがいもは食べずに廃棄してください。(参考:厚生労働省:家庭でできる食中毒予防の6つのポイント

「芽が赤い」じゃがいもの安全性と対処法

じゃがいもの色で、中身の赤や紫以上に注意が必要なのが「芽」です。中身の色は安全なケースがほとんどでしたが、「芽」は全く話が別です。特に「芽が赤い」場合、有毒な「緑の芽」とは違うため安全なのかと迷うかもしれません。ここでは、赤い芽の正体と、色に関わらない正しい対処法を解説します。

芽が赤くなるのはなぜか

芽が赤くなるのはなぜか

じゃがいもの芽が赤くなるのも、中身の色と同様に品種(アントシアニン)に由来することがほとんどです。「レッドムーン」や「アンデスレッド」のように、もともと皮が赤い品種は、芽も赤くなる傾向があります。

つまり、芽の色自体は、そのじゃがいもが持つアントシアニン色素が表面に現れているだけと言えます。芽が赤いこと自体は、品種の特性に過ぎません。

赤い芽のソラニンと除去方法

ここで最も重要な注意点があります。じゃがいもの芽は、色(赤・紫・白・緑)に関わらず、有毒な成分を含んでいます。

じゃがいもの芽や、光が当たって緑色になった皮には、「ソラニン」「チャコニン」という天然の毒素が蓄積されています。これらは、食べると吐き気、嘔吐、腹痛、めまいなどの中毒症状を引き起こす可能性があります。

芽の色に関わらず毒素(ソラニン)に注意

厚生労働省も指摘している通り、ソラニンやチャコニンは加熱しても分解されません。(出典:厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:ジャガイモ」

芽が赤色や紫色であっても、その毒性は緑色の芽と何ら変わりません。芽そのものと、その芽の根元(緑色っぽく変色している部分)には、これらの毒素が集中しています。

もし赤い芽が出ていたら、色は赤くても緑の芽と同様に危険です。必ず、芽そのものだけでなく、毒素が集まっている「芽の根元」周辺を含めて、包丁の付け根(あご)やピーラーの芽取り部分で深くえぐり取るように除去してください。

色別・安全な見分け方【早見表】

これまでの情報を、じゃがいもの色や部位別に「食べられるか」の早見表にまとめます。特に「芽」と「緑色の皮」は、色に関わらず厳重な対処が必要です。

色 / 部位 主な原因 毒性(ソラニン等) 対処法
中が赤い・ピンク・紫 (全体) 品種(アントシアニン) なし そのまま食べてOK
中のピンク・褐色の斑点 (シミ状) 生理障害(ストレス) なし 気になる部分だけ取り除けばOK
芽が赤い・紫・白・緑 品種(色素) + 芽の成長 強くあり 芽と根元を深くえぐり取る
(参考)皮が緑色 光合成(クロロフィル) 強くあり 皮を厚くむく。広範囲なら廃棄。

(参考:農林水産省「ソラニンやチャコニンによる食中毒を防ぐために」

色付き品種を美味しく食べる調理法

安全だとわかると、次に「どうやって食べるのが美味しいか」が気になります。特にノーザンルビーやシャドークイーンなどの色付き品種は、その鮮やかな色を食卓で活かすのがポイントです。

前述の通り、アントシアニン色素は水溶性で水に溶け出しやすい性質があります。そのため、色を鮮やかに残したい場合、長時間の茹で調理は避けるのが無難です。

色を活かすおすすめ調理法

  • 電子レンジ加熱:水を使わずに加熱できるため、色の流出を最小限に抑えられます。ポテトサラダやマッシュポテトの下ごしらえに最適です。
  • 蒸し調理:茹でるよりもお湯に触れる量が少ないため、色が残りやすいです。温野菜として楽しめます。
  • 揚げ調理:高温の油で揚げることで、水分が抜け、色素が凝縮されます。フライドポテトやポテトチップスにすると、色鮮やかに仕上がります。
  • (豆知識)酸を利用する:ポテトサラダにレモン汁や酢を加えると、酸の力でアントシアニンが安定し、ピンクや紫の色がより鮮やかになります。

これらの調理法で、鮮やかなピンク色のポテトサラダや、紫色のビシソワーズ(冷製スープ)など、食卓を彩る一品を作ることができます。

まとめ

まとめ

じゃがいもの中が赤い、ピンク、紫だったり、芽が赤かったりした場合の判断基準をまとめます。

  • じゃがいもの中が赤い・ピンク・紫なのは品種特性
  • これらの色の正体はアントシアニン(ポリフェノール)
  • アントシアニンは栄養素であり毒性はない
  • 色付き品種は安全に食べられる
  • 代表的な品種はノーザンルビー(ピンク)
  • 代表的な品種はシャドークイーン(紫)
  • 色付き品種は加熱で色が薄くなることがある
  • 品種に関わらずピンクや褐色のシミが出ることもある
  • シミは環境ストレスによる生理障害
  • 中心褐色斑点や内部褐色斑点と呼ばれる
  • 生理障害によるシミにも毒性はない
  • シミは見た目が悪ければ取り除けばOK
  • 色と腐敗は別問題(異臭やぬめりが腐敗のサイン)
  • 芽が赤いのもアントシアニンが原因
  • 芽は色(赤・紫)に関わらず有毒
  • 芽と根元にはソラニンやチャコニンが含まれる
  • 赤い芽も緑の芽と同様に必ず根元からえぐり取る
  • 色を活かすにはレンジ加熱や揚げ調理がおすすめ
タイトルとURLをコピーしました